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6 - それから2日後、その行商人とやらがやってきた。
大きな荷台には、たくさんの品が乗っている。 医者の話によると、この村にはないような珍しい品もあるようだ。 少女に渡せるような物もあるだろうか、 と期待してその行商人を訪ねようとしたが、 重要なことを忘れていた。 私は、お金のような物を何も持っていない。 それでは何も買えないではないか。 今までまるで気付いていなかった自分に、さすがに呆れたが、 その辺を医者はちゃんと分かってくれていたらしい。 「少しだけど」と、私にお金を渡してくれた。 本当にこの村には親切な人が多い。 彼にも何かを返さねば、と思ったが、 まずは少女への贈り物を捜すことが先決だった。 どうせなら装飾品がいい。 運良く、行商人は装飾品の類も品物として持っていた。 どんな物がいいかしばらく悩んだ後、 地味だが少女によく似合いそうな首飾りを選んだ。 他にもっと珍しそうな品もあったのだが、 しかしその首飾りが、やけに目についたのだ。 少女がくれた、あの貝殻のように。 一目惚れとはこのような感覚を言うのだろうか。 さすがに装飾品に恋をする人間などいないだろう、 などとよく分からないことを考えながらも、 これがいいと言うと、行商人は一瞬、苦笑にも似た表情を浮かべてみせた。 「これが、何か?」 何か可笑しいのだろうかと尋ねた私に、 行商人は、いえ、と微笑した後、 「ちょっと人気の商品でしてね。 でもまぁ、欲しがってる人に売るのが一番ですし」 そうなのか、あまり女性には好まれそうではないと思うのだが。 それを女性に贈ろうとしている私もどうかとは思うが、 しかし少女に似合うと感じたのだから仕方ない。 値段を聞くと、驚く程安かった。 医者から渡された小遣いでも、十分お釣りが来る程だった。 人気ならばもっと高く売ればいいものを、 きっとこの人は商売人としての才能がないに違いない。 失礼なことを内心思いながら、行商人から商品を受け取った。 少女は一体どんな顔をするのだろうか。 喜んで、くれるだろうか。 渡す時が楽しみだった。 ≪ - ≫ ∠long ∠index |