どこまでも続く空の間で #4 -


ロスト。その名の通り、捨てられた世界。
人々が空に移り住む前に、ありとあらゆる汚いものを捨てていった地。
その地に、1人の少女がいた。
ゴミ溜めのようなその場所で、細々と日常を送っていた少女は、
その日、空に浮かぶ島から、流れ星のようなものが落ちてくるのを見た。
それが、彼女の日常を変えるきっかけになるとは思いもせず、
彼女はそれの落ちていく先を見つめていた。




(冗談じゃねぇぞオイィィ!)

自由落下を続ける機体をどうにかしようと、俺は足掻き続けていた。
下手に喋ると舌を噛む恐れがある――が、俺はどうにも叫びたい衝動に駆られていた。
空気抵抗も利用してブレーキを全力でかけているが、機体の制御装置がイカれているせいなのか、
それほど減速せず、むしろ徐々に加速しながら落下していく。

『エマージェンシーエマージェンシー、当機は墜落の恐れがあります、ただちに減速を――』

機体に申し訳程度についているナビが、淡々とわかりきった事態を説明する。
あぁもう、わかってるんだって、そんなことは!
普段は聞き流してしまうその声が、今はただ憎かった。
えぇい、お前に顔があれば今すぐその口を閉じさせて一発殴ってるところを!
そうこうしている間にも、空からはどんどん遠ざかり、代わりに地上が近付いてくる。
くそ、これは普段仕事をサボってその辺を飛び回っていた罰か?
だったら、これからはちゃんと整備もするし、キールの言いつけも少しは守るから、だから、

(止まれぇぇえええ!!)

そこで俺の祈りが通じたのか、奇跡が起きた。
まるで減速の予兆もなかった機体が、突然下に向って噴射をかけて、速度を落とし始めたのだ。
どうやら制御装置が立ち直ったらしい。
おぉ、やった、これなら…!
湧いてきた希望とともに、ブレーキを引きちぎる勢いで全力でかけて、さらに減速がかかり、
そこでブレーキレバーが、鈍い音とともにホントに引きちぎれた。

(嘘!?)

途端、嘘ではないとばかりに再び落下速度を増し始める機体。じょ、冗談だろ…?
思わず視線を下に向ける。もう地上は目の前だった。
今からブレーキをかけても間に合わない距離にある。

死ぬ…?

その考えが脳裏を過ぎった瞬間、俺は、思わず目を瞑り――





激しい衝撃音とともに、何かが落下した振動が、少女の元にかすかに伝わってきた。
空から何かが落ちてくることはたまにあるが、こんなにも勢いよく落ちてきたモノは初めてだ。

(一体、何が落ちてきたのだろう…?)

落下の様子をずっと見つめていた少女は、不意に好奇心が湧き、
そのモノが落ちた地へと足を向けた。
もしも人だったりしたら、ひとたまりもないだろうな、なんて思いながら。





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