プロローグ -


「目は覚めたかい?」

誰かの声に反応し、私は目覚めた。
いや、目覚めたというのは適切ではない。
起動した、と言うべきだろう。

「はい、おはようございます」

現状把握、自分のシステムが良好かどうか、自動でチェックが行われる。
まず視界に入ったのが、私を起動させたであろう人物の姿だった。
あまり手入れの届いていない頭髪と、深く刻まれた笑い皺が特徴として挙げられる男性だった。
製作者だろうか、それともマスターだろうか。質問をする前に、答えが返ってきた。

「君は今日からここで働くことになった、よろしく頼むよ」

穏やかな笑みを浮かべ、握手を求めてきた。私も握手に応える。

「よろしくお願いします、マスター」

 私の発言に対し、マスターは照れたように頬をかいた。

「マスターってのは、ちょっと恥ずかしいかな」


初めて触れた主人の手は、とても温かかったと、今も記憶している。





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