どこまでも続く空の間で #1 -


遥か昔、人類は度重なる戦争、環境破壊の繰り返しにより、
地上を人の住めない、毒に溢れた土地に変えてしまった。
人々は全ての汚れたモノを地上に押し付けると、自らは空を居住の場とし、そこに逃げ込んだ。
捨てられたモノの中には、人間の姿もあったという。


これは、そんな世界で生きる、ある少年と少女のお話。





ジリリリリリリ!!

けたたましいベルの音が部屋中に鳴り響き、俺は寝ぼけ眼で顔をしかめた。
手探りでその音の元凶を探し当てると、スイッチを切る。
部屋を再び静寂が支配したのを確認すると、俺はまた布団の中に潜り込み、
次の瞬間には跳ね起きた。
うぉ、ヤバ!今日は仕事の日だよ!
慌てて時刻を確認する――げっ、何分前から鳴ってたんだこの時計。
クソッ、ちゃんと起せと時計に毒づきながら、俺は慌てて着替えると、階下に向って駆けていく。
パンをトースターに仕掛け、その間に部屋中の窓を開け放っていく。
どんなに急いでいても、これだけは忘れない。
部屋中に光を取り入れることはとても気持ちのいいことなのだ。
1日の始まる儀式のような。そんな感じ。
窓から空を覗いて確認する。よし、今日もいい天気だ。
絶好の仕事日和だな、と考えたところで、トースターが、チン、と鳴った。
素早くパンを取り出し、壁にかけてあったゴーグルを手に取ると、
パンを30秒で咀嚼、嚥下し、古い木製のドアを蹴破る勢いで家を出た。
すぐさま外に置いてあったエアバイク(スクーターに翼を付けたような形状)のキーを回し、
エンジンに火を入れてやる。

「よっし、今日も1日頼むぜ相棒!」

アクセルを勢いよく回すと、相棒は俺の言葉に返事でもするかのように
威勢のいい音を響かせ、ふわりと空へ舞った。
重力から解き放たれ、風を味方に付ける。
この浮遊感、何度感じてもたまらない。
俺は再び空を見上げた。抜けるような青空、
掴めるんじゃないかと思うほど側にある太陽。
自分がこんな空に近い世界に生まれたことを、いつも感謝してしまう。
この、空に浮かぶ島、エデンに生まれたことを。
そして、今の仕事にありつけたことも。

「っと、んなこと考えている場合じゃないよな、っと!」

自分の立場を思い出すと、俺はゴーグルを目に当て、アクセルを更に回した。
小気味のいい振動音を鳴らし、空に白い軌跡を残しながら、今日も俺は空を飛ぶ。





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