9/10 0:00 From 小山
『シュウ先輩聞いて下さい!私今日誕生日なんです(^0^)祝って祝って☆』
初秋の涼しい夜、珍しいヤツからメールが来た。
小山、フルネームは小山秋桜(こやま あきら)。一つ下の、部の後輩の女子。
俺らの部は部員多いから普段あんまりしゃべらないし、
メールだって多分、春に アドレス教えたときの確認メール以来だろう。
俺がこいつについて知ってることだって、部内で一番背がちびこいことと、
一番笑うことと一番うるさいこと。練習中はいつも真剣な顔だったことと。
そして、一番可愛い顔をしてることくらいだ。
『おお。それはおめっとさん☆16歳か?若いな(笑)』
プチ。送信。
……っつーか、何で突然俺にメールしたんだ?こいつは。
12時ピッタリに自分の誕生日「祝ってー」なんて、普通に考えれたらさ、
ワザワザほとんどしゃべったことない俺にするコトじゃないだろ。
やっぱ……やっぱ?こいつ、もしかして俺のこと――――――
――――着メロが短く鳴った。(余談だが、俺の着メロは山口百恵で、
友人には通じずに先生らには懐かしまれる)
『ありがとうございます!16ですよーすごいですよねーもう結婚出来ますよー(笑)』
……ホラホラぁ。結婚だってさ。あーらら、匂わせますな。
よーし。少し話に乗ってやろうではないか。
『おー。それはオメデト。旦那はどんな人が希望?(笑)』
それとなく、誘導尋問。ふぉっふぉっふぉっ。さあ、どう反応するかな小山クン?
……まもなく、俺の黒い携帯が、また短く鳴る。
『えっとですねー。石油王がいいなv(笑)』
……は? な? 石油王!!???
おいおいおいおいおいっっっっっっ!!! 小山ぁぁ!!
ここは『シュウ先輩みたいな人vきゃっv』っとか言うとこだろコラコラコラコラ!!!!!
……なんだよ。期待させやがって。俺の早とちりかよ、だっせぇ。
俺は、ベッドに突っ伏し、ちょっとヘコみながら投げやりに、ブチブチとボタンを押す。
『石油王ー?この辺にゃーいねーだろ』
返信はすぐ。今日4度目の山口百恵が鳴った。
パカパカ携帯の大画面に映る文字。
『じゃあ、先輩がなってくださいよ。石油王』
ん? あら?
「(笑)」がついてないじゃーないですか?? ねぇ小山サン?
――――こりゃあ一本とられたわ。
俺は返す。
すぐに返信するのもなんだから、5分くらいジラしてやった。
『じゃ、考えとくわ』
転がされてるのは、もしかして俺の方なのかもしんない。
さあ、ヤツはなんて返すか――――?