すとろべりぃ・どろっぷ -


からんからん、音を立てながら彼女がドロップを取り出す。


「あ、ハッカだ、残念」


そう言いながら、彼女はそのドロップを口に含む。

嫌いなら食べなきゃいいじゃない、と僕が言うと、

取り出したものは全部食べるの、と彼女が言う。


「それに、この何が出るかわかんない感じがいーんじゃない。運試しみたいな」


そう言いながら、彼女は昔懐かしいドロップの缶を左右に揺らし、

からんからんと音を立てさせた。

というか、どこに売っているのだろう、こんな懐かしいもの。

彼女曰く、まだまだ現役の代物らしいのだが。

僕は古い映画でしか見たことがない。

がりがりと音を立て、彼女がハッカのドロップを噛み砕いた。

全部食べるにしても、苦手なものはやはりさっさと食べてしまいたいらしい。

さっさと飲み込んでしまうと、また次を取り出す。

赤いそれは、恐らくイチゴ味なのだろう。

彼女はにんまりと笑い、口の中に放り込んだ。


「甘そう」


「そりゃ甘いよ。おいし」


「甘いものって美味しいの?」


尋ねる僕を、彼女が怪訝そうな目で見る。

甘いものはあまり得意ではない。

味ももちろんだが、口の中にじんわりとにじんで、

しばらく舌に絡んで離れないあの感じが、どうも好きになれない。

ドロップなら尚更そうだろうな。

想像しかけて、素早く頭から振り払う。


「もったいない、こんなに美味しいのに。ほら」


ふいに彼女が僕の顎を掴んだ。

何、と言う間もなく、彼女の顔が接近。

接触。

ぬめり、とした感触が口の中に広がり、間もなく固形物が押し込まれる。


「ね?」


言われて、舌で味を確かめる。

イチゴと言えなくもない味がする。

溶けかけたそれは、やはり舌に絡んで、離れようとしない。


「……甘いのは苦手」


もう、せっかくあげたのに。

不満そうな声をあげながら、彼女がまた次のドロップを取り出す。

茶色いそれが何味なのか、どうでもよかった。

彼女が美味しいと言ったのだから、きっと甘いのだろう。

僕はと言えば、ねとねとと絡みつくそれを胃袋へ流し込もうと、舌の上で転がし続けていた。



                   - 了


あとがき -

これもサークル内作品。
今回のテーマは、「甘いもの」。
どろどろに甘い感じが出ていて、
個人的には好きな作品です。


07/08/26


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