桜の唄 -


あるところに、旅人がおりました。
その旅人は、不死ビトと呼ばれる、つまりはほとんど不死身な人間でした。
不死ビトは、ごく稀に、ホントにわずかの確率で人と人の間に生まれる存在です。
何故不死ビトは存在するのか、それは誰にもわかりません。
人の突然変異か、それとも神の気まぐれなのか。
謎は解明されませんでしたが、しかし1つだけ確かなことがあります。


人は、不死ビトが嫌いでした。


病気もなく、怪我もほとんど治療する必要もない程の速度で回復し、寿命もなし。
ある程度成長すると、そこから見た目の年齢はほとんど変わらず、老化もしません。
さらに、人とは明らかに違う、血のような赤い瞳。
そんな得体の知れない存在を、人は不気味に思いました。
人の姿をした、人でなきもの。
故に、人はソレを『不死人』ではなく、『不死ビト』と名付けました。
不死ビトとして生まれたものには、迫害がつきものです。
あるものは、生まれてからずっと家の外に出されずに過ごしました。
あるものは、生まれた瞬間谷底に突き落とされました。
あるものは、家族もろとも惨殺されましたが、不死ビトだけはなかなか死にませんでした。
またあるものは、どこまで死なないのか実験体にされた挙句、家畜のエサにされました。
もちろん全員が全員酷い扱いを受けたわけではありません。
ですが、大抵の人は、不死ビトに冷たく当たりました。
人は不死ビトを嫌い、不死ビトは人に恐怖しました。
不死ビトは優れた存在であったかも知れませんが、しかし人はそれを認めませんでした。
故に、不死ビトとして生まれたものは、皆、日の目を避けるように暮らしていました。




さて。話は旅人に戻ります。
彼は不死ビトでありながら、旅をしています。
本来、ひっそりと隠れるように生きるものである不死ビトにとって、彼は特異な存在でした。
少し、その旅人について話をします。
旅人の父も母も慈悲深く、優しい人でした。
ですが、彼らには不幸が常に付きまとっていました。
子宝に恵まれず、ようやく産まれた赤子は赤い瞳。
血のように赤いその瞳は、災いの象徴ともされる、紛れもない不死ビトの証。
夫婦は悩み、苦しみました。
自分達の子どもが、世の中では決して祝福されない存在であること。
その存在は、化け物と言い換えても差し障りはありませんでした。
しかし夫婦は、その子どもを殺すことなど出来ませんでした。
それがたとえ世間では決して認められぬ不死ビトであっても、
それは、自分達が苦しみながら産んだ、子どもなのだから。
夫婦は、悩み苦しんだ末、赤い瞳の子を、大切に育てることにしました。
そしてまた、我が子の存在を、人々に隠さないことにしました。
その夫婦が住んでいたところが小さな農村であったことも幸いしました。
住民は全て友人、いえ、家族のような間柄だったのです。
不死ビトが産まれたと聞いた時は皆動揺しました。
殺した方がいいのではないか、と言い出すものもいました。
しかし、夫婦が「これが私達の子です」と主張すると、誰も何も言えなくなりました。
住民は、皆、その夫婦の人柄を好いており、その夫婦をどうこうしたくなかったのです。
それでも一部は不気味がりましたが、やがて時が経ち、
子どもが成長するにつれ、それも段々となくなりました。
優しい両親に育てられた子もまた、優しく、明るい人間として育ったからです。
住民は、その不死ビトを認め、家族の一員のように、仲良く暮らしました。


しかし、時は過ぎ去ります。
不死ビトは立派な青年の姿になっていましたが、
両親は既に立ち上がることもままならない体になっていました。
既に、青年が生まれてから数十年経っていました。
しかし青年の年齢は、どう見ても20代前半くらいにしか見えません。
それが、彼が不死ビトである何よりの証拠でした。
青年はしかし、自分が不死ビトであることを知りませんでした。
今まで病にかかったことのない彼は、
母と父がどうして苦しんでいるのか、よくわかりませんでした。
両親は、その時になって、ようやく青年がどんな存在であるのかを教えました。
ただ死なないだけではない、世間では憎まれ、忌み嫌われている存在ということも。
青年は驚きを隠せませんでした。自分が、両親とは違う存在だなんて。
何故今まで教えてくれなかったのか、と青年は尋ねました。
両親は悲しい顔をしました。

『教えなかったんじゃない、教えられなかったんだ』

両親は、恐ろしかったのです。
皆には「これが自分達の子だ」と言ってみたものの、
しかし心のどこかでは、自分達の子どもが不死ビトであることに、恐怖を感じていました。
もしも彼が、本当に災いを招いたらどうしよう。
両親は、いつでも不安に脅えていました。
彼が自らを不死ビトだと知ってしまったなら、どんな行動に出るのだろうか。
何よりも、自分達の元を、離れていってしまうのではないだろうか。
実際の距離だけではない、もっと大切な、心の距離が。
彼らは、心の奥底では、青年に、人であって欲しかったと願っていました。
本当のことを伝えなければ、この子はずっと人なんだ。
人であるならば、災いなんて運ぶはずがない。
そう考え、本人にはずっと不死ビトであることを隠し続けてきました。
しかし、そうすればそうするほど、両親は息子との距離を感じるようになって行ったのです。
その事実を知り、青年は愕然としましたが、しかし両親は続けました。

『今頃になって、お前がそうやって生まれてきたのには、意味があると思うようになった』

時が経つにつれ、両親は、自分の子が災いを運ぶんじゃないかと
不安だったことを、恥じるようになってきました。
何故なら、彼はいつでも、誰かの為に一生懸命に生きてきたのだから。
誰よりも心優しく育った彼が、災いなんて運ぶわけがない。
そう、青年が不死ビトとして生まれてきたのは、決して意味のないことではないはず。
災いを呼ぶ為ではない、きっと、大切な何かをなす為に、
そのような存在として生まれてきたのだ、と。

『強く、生きて欲しい。常に誰かの為になれるような、そんな人間に』

お前は、私達の子なんだから。
それが、両親の最後の言葉でした。




青年は悩んだ末に、旅に出ることにしました。
両親から、世間で不死ビトがどんな扱いを受けているのかは教えられていました。
しかし、それでも。
自分が生まれてきたことに何か意味があるとしたなら、
じっとしていてはいけないと思いました。


誰かの為に。


両親はそう言いました。
青年は、両親の為に、何より自分の為に、旅に出ることにしました。
自分に出来ることを探しに。




旅人になった不死ビトは、まず故郷である山を降りました。
荷物はほとんど持ちませんでした。
旅に重要な食料を、ほんの少ししか持っていなかった為です。
不死ビトである彼には、食べ物はほとんどいりません。
よほどの空腹にでもならない限り、死ぬことはないからです。
お陰で、彼の足取りはとても軽くなりました。
初めて見る村の外の世界に、彼は胸の高鳴りを抑えることができませんでした。
不死ビトである自分がどんな扱いを受けるのか、不安でなかったわけではありません。
しかし、両親や村の住人は、皆温かい人ばかりでした。
それを思うと、自然とどうにかなるような気がして、旅人は足を進めました。




やがて、旅人はある街に辿り着きました。
そこは、彼が住んでいた村よりも確実に広く、人も遥かに多い土地でした。
そこで初めて、彼は不死ビトがどんな扱いを受けているのか身をもって知りました。
自分の故郷にはなかった、明らかに冷たい眼差し。
余所者、という理由だけでは、ここまで冷たい視線を浴びることはないでしょう。
突き刺さるような視線に、旅人はほんの少しだけ悲しくなりましたが、
しかし、両親の言葉を思い出し、自らを励ましました。
いつか、両親や故郷の人のように仲良くなれるかも知れない、と。
その為に、自分に出来ることを頑張ろう。
そこでふと、旅人は思いました。


自分に出来ることとは、一体何なのだろう。


あまりにも漠然とし過ぎていて、すっかり疑うことも忘れていました。
一体自分に何ができるのだろう。不死ビトである自分にできること。
旅人は、そこが往来の場であることも忘れて、ひたすら悩み続けました。
本来人目を避けて生活する不死ビトが、まっ昼間に道の真ん中に立っているという光景は、
酷く滑稽なものでしたが、しかし誰も声などはかけませんでした。
そんな旅人の意識を現実に戻したのは、誰かの大きな叫び声でした。

「どなたか、どなたかお医者様はいらっしゃいませんか!?」

その声は、熟年の女性の声をしていました。
こちらに不死ビトである自分がいることに気付かず、まっすぐに走ってきます。
その声が必死であることが気にかかり、旅人は声をかけました。

「一体どうなさったんですか?」

女性は、声の主の方を見て、それが不死ビトであることに驚きましたが、
構わず大きな声で周りにも聞こえるように捲し立てました。

「ウチの娘が、腕に大怪我をしてしまって!
娘はピアノの名手で、世界に羽ばたく程の才能を持っているのに!
もうすぐその第一歩となる発表会だというのに…」

悔しそうに泣き、喚き立てるその女性に、旅人はふと、母の面影を重ねました。
詳しく聞けば、その娘は、左腕に大怪我を負い、あまりの怪我の酷さにどの医者にも見離され、
さらには腕の切断をせねば、やがて腐ってしまうというのです。
ですが、彼女にはピアノがあります。腕を切るわけにはいきません。
どうすればいいのか。母親である女性は、さめざめと泣き続けました。
話を聞いて、旅人はしばらく考えた後、ある提案をしました。

「ならば、私の腕を使いませんか?」

不死ビトが追い立てられるのは、単純に不気味であるからというだけではありません。
不死ビトは、体の一部分が持ち主の元を離れても、死なずに生き続けるのです。
またそれは、他の人間にも簡単に繋げられ、以降はその人間のものとなります。
その便利さ故、義手や義足には、しばしば不死ビトのものが使われました。
しかし、たとえ不死ビトと言えど、欠けた肉体が再生することはありません。
故に、自ら提供するなどということは有り得ませんでした。
しかし旅人は考えました。
それが自分に出来うることならば、助けてあげたいと。
女性はその提案を聞き、驚きましたが、次の瞬間には、

「お願いします!」

と叫んでいました。旅人は、快く引き受けました。


切断された左腕は、女性の娘の腕に綺麗に繋がり、
まるで自分の腕のように自由に動かせました。
再びピアノを弾けるようになった娘を見て、女性は大層喜びました。
旅人は隻腕になってしまいましたが、しかし後悔はしませんでした。
自分に何かが出来たような気がして、嬉しくさえありました。


女性は、満面の笑顔を浮かべ、しかし旅人に感謝はしませんでした。
不死ビトに何をしようと、構いはしない。
むしろ提供されてやったのだから、ありがたく思って欲しい。
人は皆そのように考えていました。女性もまた、例外ではありませんでした。
笑顔で腕を提供した旅人を、女性は、

「なんて馬鹿なヤツなのだろう」

と、満面の笑みで嘲笑いました。


娘もまた、旅人に感謝などしていませんでした。
むしろ、腹立たしいくらいでした。
彼女は、ピアノなど大嫌いでした。
母親に無理強いされ、弾きたくもない曲を無理矢理やらされ、
観衆の前で恥をさらされるなんてゴメンだ、と彼女は常々思っていました。
やがて、彼女のストレスは頂点に達しました。
ピアノをやめられるなら、左腕の1本など、惜しくもありませんでした。
彼女は、自ら左腕を潰したのです。
しかし、左腕は治ってしまいました。
しかも不死ビトの腕とあっては、以前のような傷をつけることもできません。
いらないお節介を受けた娘もまた、母親と同じように、

「なんて馬鹿なヤツなのだろう」

と、嘲りと憤りとともに吐き出しました。




女性の嘲笑も娘の憤りも、旅人は知らぬまま旅を続けてました。
失くした左腕を、彼は誇りにさえ思っていました。
自分に出来ることがある。そのことは、彼に自信を与えました。
旅人は幸せな気持ちのまま街を抜け、野を抜け、川を渡りました。
さらに野を歩いていると、小さな村が見えてきました。
最初に立ち寄った街よりは幾分か小さいけども、旅人の故郷よりは広い村でした。
村に入ると、人は随分とまばらでした。
何かあったのだろうか、と不思議に思いながら旅人が村の中を歩いていると、
やがて、村はずれに人だかりが出来ているのが見えました。
なるほど、あそこに集まっていたのか。
合点がいった旅人もまた、その人だかりへと向かいました。
人の山の上から真ん中を覗いてみると、そこには、元は家だったらしい瓦礫の山がありました。

「何があったんですか?」

旅人は隣にいた村人に声をかけました。
村人は旅人の方を見、目を見て、一瞬顔をしかめました。

「なんだ、あんた不死ビトか。イヤ、実はさっき地震があってな。
大した揺れではなかったんだが、ここの家が壊れてしまったんだ。元々ボロボロでね。
で、中にはまだ住人が残っていてな…」

それを聞いて、旅人は青ざめました。

「大変じゃないですか!すぐにでも助けないと!」

村人に二の句も告げさせず、旅人は人垣をかきわけ、瓦礫の山に辿りつくと、
すぐさま掘り起こしにかかりました。
周りでただ見ているだけだった村人も、不死ビトの行動を見て、
1人、また1人と作業を手伝い始めました。
作業は順調に進んでいましたが、しかし不死ビトはいかんせん片腕。
上手くバランスが取れないながらも奮闘していましたが、
ふとしたきっかけでバランスを崩し、右足が瓦礫の下敷きになってしまいました。
引っ張り出そうとするも、しかし今まで奇妙なバランスを取って崩れていなかった瓦礫です。
ここで足を無理矢理引き抜くと、その瓦礫が一気に潰れかねません。
どうしようか一瞬迷った後、旅人は足を捨てることにしました。
自分は不死ビト、足が1本くらいなくても生きていけます。
それで人が1人助かるのなら安いもの。
旅人は決断すると、足を切り捨てました。
血が少しの間大量に出ましたが、しかし数分後には出血は止まり、かさぶたが出来始めました。
膝から下を失くした旅人は、しかし全く構うことなく作業を続けました。
その甲斐あって、程なくして、住人は無事助かりましたが、
次の瞬間には、家だったものは完全に潰れて瓦礫になり、足も一緒に埋もれてしまいました。
旅人は少し残念に思いましたが、しかし後悔はしませんでした。
自分のお陰で人1人の命が助かったのだと思うと、嬉しくてたまらなかったのです。
しかし何やら照れくさくて、旅人は、杖を1本村人からもらうと、
住人が目を覚ます前に村を出て行きました。


住人は、その後しばらくして目を覚ましたが、しかし3日後には死んでしまいました。
かなりの老体であった上、助けに入るのが少しばかり遅かったのです。
村人達は、老人が死んだことに、しかし何の感慨も抱いていませんでした。
老人には身寄りがいませんでした。ただ1人で、村はずれに住む、偏屈な人間でした。
村人にとって、老人は手に余る存在であり、地震のお陰で厄介払いできたとさえ思ってました。
そんな、助けるつもりさえなかった存在を、足を失ってまで助けようとした不死ビトを、
村人達はもちろん賞賛などしませんでした。
最初から見捨てるつもりだったというのに、なんて無駄なことをするのだろう。
コレだから不死ビトはどうしようもない。
もっとも、不死ビトなんかに助けられても嬉しくもなんともなかっただろうが。
人々はたくさんの暴言を吐き、不死ビトをさんざ嘲笑った後、

「本当に、なんて馬鹿なヤツなのだろう」

と、心無い言葉を口にしました。




自らの足を失くしてまで助けた老人が死んだことも、
村人の心の内も知るはずのない旅人は、とても温かい気持ちで旅を続けていました。
少しばかり歩きにくくなり、時間がかかるようになってしまいましたが、
そのお陰で人が助かったのだと思えば、苦にもなりません。
あぁそうだ、自分にだって何かが出来る。
それに、自分に出来ることを繰り返していれば、その内皆わかってくれるかもしれない。
不死ビトが、決して災いなんてもたらさないことを。
旅人は、そんな希望に胸を膨らませながら、
今までの半分くらいの速度で、ゆっくりと旅を続けていました。
その間に、人々の間では、馬鹿な不死ビトが旅をしている、という噂が広まっていました。
日中堂々と外を歩き、何の躊躇いもなく人助けをしている不死ビト。
人々は、その旅人の話を笑い種にしました。

「自分の腕を人によこしたんだって?」

「何を考えてるんだかわからないな。コレだから不死ビトは」

「おまけに死にぞこないの老人を助けて足を失くしたんだと」

「ハハハ、長く生き過ぎると何が無駄なことなのかもわからなくなるらしい」

「頭がボケてしまっているんだろう。本当に馬鹿な生き物だ」

人々は口々に、思いつく限りの罵詈雑言を旅人に吐き、彼の行動の1つ1つを嘲笑いました。
心無い言葉、しかし不死ビト相手では、誰も酷いことだとは思いません。
またその噂は、他の不死ビトの間にも広まっていました。
一体何を考えているのだろうか。どうせ殺されるのに。大人しくしていればよいものを。
こっちにまで火の粉が飛んできたらどうしてくれる。
不死ビト達は、旅人の行動に感動など覚えるはずもなく、ただ脅えていました。


人も不死ビトも、旅人の行動を褒めるものは、誰一人としていませんでした。




自分のそんな噂が広まっているとは露知らず、旅人は相変わらず旅を続けていました。
彼は、たとえば視界一杯に広がる青い空とか、草原を吹き抜ける柔らかい風とか、
大地を潤す雨とか、人々が暮らす街並みだとか、
そんなものを見るたびに逐一感動しては、とても嬉しそうに笑いました。
世界の広さを知るたびに、旅人は、それらをもっと知りたいと願いました。
やがて、前の村を出てから随分と経ってから、旅人はようやく次の街に到着しました。
杖をつき、景色を見ながらでは、だいぶ旅路はゆっくりなものになりましたが、
旅人が困ることはありません。
何せ、彼は時間に縛られることのない、不死ビトなのですから。
旅人が辿り着いた街は、港があり、活気のある、とても賑やかなところでした。
潮の香りや、海の広さをを知らなかった旅人は、
ここでもまた、とても嬉しそうに笑うのでした。
さてどうしようかとこれからのことを考えた旅人は、酷く空腹している自分に気付きました。
そう言えばもう10日ほど何も口にしていないことを思い出し、
彼はとりあえず近くにあったお店に入りました。
しかし、3秒後には再び外に出ていました。
店員と目を合わせた瞬間、店を追い出されたのです。
旅人はほんの少し悲しくなりましたが、めげずに別のお店を探しました。
次のお店では、看板に『不死ビトお断り』と書いてありました。
その次のお店では、「人以外に食わせるものは置いてない」と追い払われました。
やがて、ようやく入れたお店は、とても小さな古びたお店で、
中には客がおらず、ガラガラでした。
久しぶりの客だったのか、店長が笑顔で迎えてくれたことが、
旅人にはとても胸に染みたのでした。
出された料理は、流行っていない店にふさわしい味でしたが、
しかし旅人にはとても美味しく感じられました。
食事を終え、一休みしていると、店に別の客らしい男が入ってきました。
男は、店内をしばらく見回し、やがて旅人の姿を見つけると、
にこやかに近付いてきて、旅人の隣に座りました。

「こんにちは、あなたが噂の旅人さんですか?」

男は、不死ビトである旅人に対して、物怖じせずに話しかけてきました。

「噂の?」

なんのことかと疑問に思い、旅人は尋ねました。

「えぇ。あなたが、人助けを働きながら旅をしている、素晴らしい不死ビトであると」

男は、そう言って親しげに笑いかけてきます。
旅人はそのことを聞いて、驚くと同時に、喜びで胸が一杯になりました。
自分のしていることは、ちゃんと誰かの為になっていたのだ。
そう思うと、旅人は嬉しくて嬉しくて仕方がありませんでした。

「そんな噂が広まっているのですか」

「えぇ。そこで、と言うのも変な話なのですが。私の頼みを聞いてもらえないでしょうか?」

不意に男が顔を曇らせたのを、旅人は不思議に思い、続きを促しました。

「私は、現在妹と2人で暮らしています。
父も母も、私達が幼い頃に病気で死んでしまいました。
それでも兄妹で力を合わせて、ほそぼそと生きてきました。
辛いながらも、それは幸せな毎日でした。
ですが、最近、妹もまた、病を患ってしまい…
一命は取り留めたのですが、後遺症で目が見えなくなってしまったのです。
しかし、それは治らないわけではないのです。
ただ、治療費がとても莫大で…
2人で生活するだけで手一杯の私達には、とても払えない額なのです。
妹の目に、再び光を灯してやりたい。しかし、一体どうすればいいのか。
そんな時、あなたの話を聞きました。
あなたが、人を助ける為に、自らの体をも差し出す、素晴らしい不死ビトであると。
噂によると、不死ビトの体は、他人に提供することが可能だと聞きました。
そして、それならば、妹の目も見えるようになるのではないかと。
非常に厚かましい話ではあることは理解しています。
しかし、旅人さん、あなたの力を貸して頂きたいのです」

話を聞いて、旅人は無言で席を立ちました。
呼び止める男の声を無視して、厨房の方へと歩いていくと、
そこで一緒に話を聞いていた店長から、包丁を1本借りました。
そして、何の躊躇いも無く、自らの右の眼球を包丁で抉り出したのです。
傷つけないように、優しく取り出した赤い瞳の眼球を、近くにあったコップに入れると、
旅人は、顔から赤い涙を流しつつ、穏やかに笑いながら、男にコップを差し出し、

「妹さんの目が、また見えるようになることを祈ってます」

男は、しばらく旅人の行動に呆気に取られていましたが、やがて正気を取り戻すと、

「ありがとうございます!」

と、お礼を言うなり、走り去って行きました。
旅人は、その言葉で、胸を喜びで一杯にすると、自らも立ち上がり、店を出て行きました。
店長は、そんな旅人を、化け物でも見るかのような目で見送りました。


男は、店を出てしばらく走った後、立ち止まり、にやりと笑いました。
そして、先ほどのコップの中身を、楽しそうに眺めました。

「あんなに簡単に引っかかるなんて」

そう言って、男は笑いました。
男には、妹などいませんでした。
先程の話は全てでっち上げで、彼はただ、不死ビトの目が欲しかったのです。
何故なら、不死ビトの体は、科学者や医者に、高値で売ることができるのです。
しかし、不死ビトは隠れて暮らしている為、ほとんど見つかることはありません。
そんな中で、旅人は、格好の獲物と言えました。
男は、旅人の単純さが可笑し過ぎて、

「なんて馬鹿なヤツ」

と、愉快そうに哂いました。




目玉を抉り出した話も、あっという間に人の間に噂として広まりました。


こんな馬鹿な不死ビトがいるそうな。


おいおい、そんな話があってたまるか。


全く、信じられないようなヤツだな。


人々は、旅人の話をするたび、愉快そうに笑い、嘲笑い、哂うのでした。
そしてまた、目玉を持っていった男と同じことを考える人も出始めました。

「旅人さん、旅人さん」

旅人は声をかけられるたびに立ち止まり、人の声に耳を傾けました。


ある女は、「子どもの耳が聞こえないのです」と言って、旅人に耳を要求しました。
旅人は、女に深く同情すると、自らの耳を切り裂いて差し出しました。
もちろん女の言うことはデタラメで、女には罪悪感のカケラもありません。


ある男は、「兄が指を斧で切り落としてしまったのです」と言って、旅人に指を要求しました。
旅人は、その兄が一刻も早く治るといいと言って、自らの指を切り落として差し出しました。
もちろん男の言うことは出任せで、彼には兄さえいません。男には感謝の気持ちなど全くありません。


どんな些細なことにも、旅人は立ち止まり、耳を傾け、同情しては身体の一部分を差し出しました。
そして、人々が決まって返す、心にも無い「ありがとう」という言葉に、心から喜んでは、
少しずつ、少しずつ身体を失なっていくのでした。
そしてそのたびに、人々は旅人を、「なんて馬鹿なヤツなのだろう」と嘲笑いました。




やがて、歩けるのも不思議なくらいボロボロになった身体で、旅人はある森に辿り着きました。
日の光が柔らかく差し込み、緑が優しく香るその地で、旅人はある獣に出会いました。
とても恐ろしい容貌をしたその獣は人間の言葉がわかるらしく、旅人に話しかけてきました。

「旅人さん、私の頼みを聞いてくれませんか」

並みの人間であれば腰を抜かしてしまいそうな獰猛そうな獣を目の前にしても、
旅人は物怖じせずに聞き返しました。

「なんでしょうか?」

「実は、私には今、お腹を空かせた子どもがたくさんいるのです。
しかし、私は狩りが下手で、ろくな食べ物も与えられません。
このままでは親子ともども餓死してしまいます。
無茶な頼みかと思いますが、旅人さんの身体を少しばかりいただけないでしょうか?」

それはとても無茶な頼みでした。
既に身体と呼べる部分がほとんどなくなっていた旅人です。
これ以上取られたら、不死ビトであっても死んでしまうかも知れません。
しかし旅人は、

「こんな身体でよろしければ」

と、迷わずに、笑顔で自らの身体を差し出しました。

「ありがとうございます!」

獣は礼を言うと、旅人の身体にかじりつきました。
少しは残してくれるのだろうかと旅人は思いましたが、
獣は、首だけを残して、身体の全てを持っていってしまったのでした。
しかし、旅人は後悔などせず、あの獣の親子がお腹いっぱいになればいい、と考えていました。


獣の言ったことは、しかし全くの嘘でした。
獣に子どもなんかいません。ただ、苦労せずに獲物が欲しかっただけでした。
恐らく誰もが信じないような言い分を、簡単に信じてしまった旅人を、獣は

「なんて馬鹿なヤツなのだろう」

と、愉快そうに嘲笑い、元旅人の身体を食べてしまいました。
その獣も、数日後には別の大きな獣に食べられてしまいました。


そして旅人は首だけになってしまいましたが、それでも死なず、1人森の中に取り残されました。




それから数日が経った頃、その森に別の旅人が足を踏み入れました。
背中には、旅の荷物の他、ウクレレに似た小さな弦楽器を背負っていました。
吟遊詩人であろうその旅人が、慎重に森の中を進んでいると、どこからか声が聞こえてきました。
耳をすまさなくては聞こえないくらいの小さな小さな声でしたが、
旅人はその声を聞きつけ、そちらの方へと足を向けました。
近付くにつれ、その声が泣き声のように旅人の耳には聞こえました。
やがて声の主の元に辿り着きました。
それは、数日前に首だけを残して獣に身体を食べられてしまった旅人でした。
旅人であった不死ビトは、残った首だけで、ただ静かに泣いていました。
人の生首が、森の中で1人静かに泣いているその光景は、
とても奇妙で不気味な光景でしたが、吟遊詩人は物怖じせず声をかけました。

「泣いているのか?」

その声に、旅人であった不死ビトはそちらの方を向こうとしましたが、
しかし首だけではどうにも上手く振り向けません。
吟遊詩人は、不死ビトの目の前にまで歩いていくと、その前に屈みこみました。

「もしかしなくても、君は不死ビトか?」

その問いに、不死ビトは残った左の目だけで頷きました。
その顔は痩せ細り、今までたくさんの人々に弄ばれてきた跡が痛々しく残っていました。
何故こんなところに不死ビトが首だけで転がっているのだろう、
と吟遊詩人は不思議がりましたが、すぐに謎は解けました。
今、人々の間で笑い種として広まっている、旅をしている馬鹿な不死ビトの噂。
その話は、旅をしている吟遊詩人の耳にも当然届いていました。
きっとコレは、その当人であろう。
何故首だけになっているのかは吟遊詩人にはわかりませんでしたが、
噂によると、出会う人出会う人に簡単に騙されては身体の一部を差し出していたとのこと。
きっと、その流れでこんな姿になってしまったのだろう。
本当に、なんて馬鹿なヤツなのだ、と吟遊詩人は呆れ返りました。

「なんでこんなところに首だけでいる?」

吟遊詩人が尋ねると、不死ビトは、ところどころ歯の欠けた口を開き、
静かに、自らの今までの出来事を語り始めました。
そのおおよそは吟遊詩人が旅の途中で聞いた話と大体一致していましたが、
2つほど、誰も興味も持たなかった事実がありました。
不死ビトの両親とその故郷の人々は、不死ビトを好いていてくれたこと。
また、不死ビトは、どんなに人々から騙されてもそれに気付かず、むしろ、
身体を提供した人々の安否を案じていたこと。
吟遊詩人はまたも呆れ返りました。
一体、どこまで馬鹿なヤツなのだ。
吟遊詩人は、身体を手に入れた人々が、
不死ビトに感謝のカケラもしていなかったことを知っています。
なのに、この不死ビトは、それにさえ気付いていないのです。
だからこそ、騙され続けてこのような姿になっているのですが。
一通り話を聞き終えた吟遊詩人は、不死ビトに尋ねました。

「それで、何故君は泣いていた?」

不死ビトは、答えません。

「悔しいのか?人々に身体を取られたことが」

不死ビトは、いいえ、と答えました。

「憎いのか?自分の身体を奪っていったもの達が」

不死ビトは、いいえ、と答えました。

「辛いのか?どこにも行けなくなってしまったことが」

不死ビトは、少し考え、いいえ、と答えました。

「ならば、何故?」

不死ビトは、躊躇った後、

「悲しいのです」

「何が?」

吟遊詩人はさらに尋ねました。

「もう、私には何も出来ないことが」

不死ビトは、言葉を続けます。

「私は、両親の最後の言葉を、不死ビトである私にも、
誰かの為になれることを信じて旅をしてきました。
そして、私は実際に、誰かの為に、たとえそれが自分の身体を失くすことであっても、
何かが出来ることを知りました。
それがまた、とても喜ばしいことでありました。
しかし、私にはもう何もありません。
人を訪ね歩く足も、誰かの肩を叩く腕も、そしてその人達に差し出すことの出来た身体も。
こうして首だけになってしまった私には、もう誰かの為に何かをすることが出来ないのです。
ならば身体を差し出さなければよかっただろうとあなたは言うでしょう。
そう思われることは少し恥ずかしいですが、しかし私に出来ることはそれくらいでした。
それが出来なくなってしまったことが、とても、とても悲しくて、泣いていました」

不死ビトは、少し恥ずかしそうに、静かに笑いました。
その拍子に、残っていた左の赤い瞳から、一筋涙を零れました。
吟遊詩人は、ただ黙って話を聞いていました。
そして、思いました。
あぁ、この不死ビトは、なんて愚かで間抜けで馬鹿で世間知らずで不器用で、
そして、どうしようもないくらいお人好しなのだろう、と。
誰もこの不死ビトに感謝などしていないのに。
きっと、こうして生首になってしまった姿を見ても、人々は嘲笑うに決まっているのに。
それなのに不死ビトは、そんな人々に対して、何も出来ないことが、悲しいと泣くのです。

「君は、馬鹿だ」

吟遊詩人は言いました。

「えぇ、知っています」

不死ビトは、苦笑しました。
だから、私にはそれしかできなかった、とでも言うように。

「だから、私はあなたに差し出すものがもう何もありません。
あなたの為に、何も出来ずにいます。
それを、情けなく思います」

吟遊詩人は、呆れたように溜息をつきました。
それを見て不死ビトは、見捨てられた子どものような表情を浮かべました。

「まだ、あるじゃないか」

少し考えた後、吟遊詩人は、呟きました。

「え?」

「まだ君にも出来ることがあるじゃないか」

不死ビトの顔に、驚きと期待の表情が浮かびました。

「こんな私に、一体何が?」

吟遊詩人は、笑い、言いました。

「私と旅をすることさ。いい加減一人旅にも飽きてきたところだ。
誰か話し相手がいないということは、とても寂しくてね。
なぁ、君。どうか、私の寂しさを、補ってくれないか?」

不死ビトの顔は、いよいよ喜びで一杯になりました。

「いいのでしょうか?私は不死ビトです。人に忌み嫌われている存在です。
大した話も出来ません。自分の足で歩くことさえ出来ません」

「あぁ、構わない。不死ビトを人は怖がるが、私は別に構いはしない。
話なら、ただ私の話を聞いてくれているだけでもいい。それだけで十分だ。
それに、君は今、頭しかないだろう?持ち運ぶのに苦労はしない」

そう言って、吟遊詩人が笑うと、
不死ビトは、涙をぽろぽろと流しながら、嬉しそうに笑いました。

「ありがとうございます、ありがとうございます…」

不死ビトは、涙を流しながら、今まで沢山の人々が、
自分に向けて、感情も込めずに吐き出してきた言葉を、
精一杯の感謝の気持ちとともに繰り返しました。

「ありがとうございます、ありがとうございます…」

「君は、礼を言う立場ではないと思うのだが?」

吟遊詩人は、苦笑すると、不死ビトの首を持ち上げ、小脇に抱えました。
そして、優しく、不死ビトに向って語り掛けました。

「さぁ、これからどこへ行こうか?北がいい?南がいい?
君の行きたいところへ行こう。私が君の足になる。
君は何をしたい?また誰かの為になりたいか?
ならば私が、君の代わりにその誰かの肩を叩いてやろう。
退屈した時は唄を唄ってやる。こう見えても、結構評判がいいんだ、私の唄は。
きっと君も気に入ると思う。もしも気に入らなかったら、その時はすまないな。
あぁ、そういえば君の名前もまだ聞いていないな。なぁ、君の名前は…」

そこで、ふと、吟遊詩人は小脇に抱えた不死ビトの方を見ました。
首だけになった不死ビトは、静かに笑ったまま、何も答えません。
赤い瞳を閉じて、今は空洞になった右の眼窩だけ開いて、
ただ静かに、静かに微笑みを浮かべていました。

「…なぁ?」

吟遊詩人は聞き返しました。
しかし、不死ビトは答えません。答えられません。


不死ビトは既に、事切れていました。


いかに強い生命力を持つ不死ビトと言えど、
首だけで生き続けることは、出来なかったのです。
柔らかな、誰かをそっと見守るような、優しい微笑みを浮かべたまま、
不死ビトは、息をすることをやめていました。
その顔は、誇りに満ちていました。
その顔は、喜びに満ちていました。
その顔は、嬉しさに満ちていました。
その顔は、希望に満ちていました。
しかし吟遊詩人は、その顔を見ても、嬉しくなどなれませんでした。

「…なんて」

吟遊詩人は、不死ビトの首を持つ手に、力を込めました。

「なんて、馬鹿なヤツなのだろう…」

今まで幾人もの人々が、嘲りとともに吐き出してきた言葉を、
吟遊詩人は、悲しみとともに呟きました。

「なんて、馬鹿なヤツなのだろう、君は…」

一粒、二粒。涙が、不死ビトの頭に零れました。
誰も、同情も感謝もしなかった不死ビトのことを想って、
吟遊詩人はただ1人、泣きました。
涙が、不死ビトの、空洞になった右の眼窩に零れ落ちると、
まるで不死ビトが流した涙のように、痩せこけた頬を伝って、
地面に吸い込まれていきました。


どんなに涙を流しても、不死ビトが目覚めることは、ありませんでした。




静かな森の中に、日の光が柔らかく降り注ぐ、開けた場所がありました。
吟遊詩人は、そこに小さな穴を掘ると、かつて不死ビトであった頭を埋めました。
誰もが作ろうなどとは思わなかった不死ビトの墓を築き上げると、
吟遊詩人は祈りを捧げ、静かにその場を立ち去りました。
そして、ただ1人の為に唄を作り、ただ1人の為に唄い続けました。
その声が、想いが、人々に届くことはなく、時に嘲笑われることもありましたが、
吟遊詩人はめげることなく、唄い続け、やがて寿命を迎え、死にました。
その唄が、誰かの心に届くことは、ありませんでした。







人里離れた遠い地に、森がありました。
日の光が柔らかく差し込み、緑が優しく香るその森に、小さな小さなお墓がありました。
そこには、かつて、どうしようもなく愚かで間抜けで馬鹿で世間知らずで不器用で、
愚かしいまでにお人好しだった、不死ビトと呼ばれた人間の頭が埋まっていました。
そのものは、誰かの為になれるような存在になることを生き甲斐としていましたが、
しかし彼に感謝をしたものはほんの一握りの人だけで、
ほとんどの人は、彼の行いを愚かだと嘲笑いました。
お墓が築き上げられて、数日が経った頃。
かつて不死ビトと呼ばれたものの頭の上に、小さな芽が頭を出しました。
とても小さく、痩せ細ったその芽は、しかし、どんな雨や風が吹き荒ぼうとも、
決して萎れず、倒れず、少しずつ、少しずつ成長していきました。
何年もの月日が流れ、芽はやがて、大きな立派な木になりました。
そして、そこに埋まっていたものの瞳の色によく似た、赤い花を咲かせました。
世界のどこにも存在しないその花は、ある季節にだけ、咲いては数日で風とともに散ってしまう、
儚く弱々しい花でしたが、しかし次の年には再び、綺麗な赤い花を咲かせました。
何度花を散らせようとも、その木は枯れることなく、ひっそりと花を咲かせ続け、
少しずつ、少しずつ、根を広げていきました。
やがてその花は、人の目にも触れる程、世界中に広まっていきました。
突然現れた見慣れぬその植物に、人々は最初戸惑いましたが、
ほんの少しの間だけ、懸命に花を咲かすその姿を見て、
時に切なく、時に楽しく、時に温かい気持ちになり、
そして、自然と笑顔が零れるのでした。



それから悠久の時が過ぎ去り、誰も不死ビトの存在など知らなくなった今も。
その花は変わることなく、季節が巡ると、そこにいる誰かの為に、
まるで笑うように、ぱっと咲くのだそうです。






                   - 了

あとがき -

どうもこんにちは又はこんばんは、アキです。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
テスト2日前だと言うのに、これだけの文章を書いてしまいました。
…何やってんでしょうね私。
でも、テスト前になると、どうしても書きたくなるのですよねぇ。
そして、個人的にはかなーり満足な作品に…
自画自賛気味かもで恐縮ですが、この作品は書いていてとても楽しかったです。
特に、吟遊詩人の件は、一気に書き上げました。
あの辺りはもう、書きたくて書きたくて仕方なくて(読んでない方はゴメンナサイ
なもんで夜中にこっそりガガガガーっ、と…
そんな感じで書いてるウチに、やたらと長くなっちゃいました…
うん、まぁこれはこれでいっかな、と。
それでは、そんなこんなで。

(しかし、童話風に書いたつもりが、童話っぽくなってない気が)
(まぁそんなもんだよね)

04/02/10


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