果てなき道 -



道がある。一本の道だ。

太く長いその道は、どこまでも、どこまでも続いていた。

その先は見通すことが出来ず、地平線がどこまでも続いている。

周りは時に荒れ地でもあったし、畑でもあったし、泥沼でもあった。

森林でもあったし、海であったし、山でもあった。

昼でもあれば夜でもあったし、夕方でもあった。

ありとあらゆる景色の中で、ただ一つ、その道だけは、

確かな、揺るぎない存在感があった。




その道を、少年が歩いていた。

とぼとぼと、ただ歩いていたが、しかしその足は止まることなく、

確かな意志とともに前へと進んでいた。

どこまでも続くその道を、少年はただ歩いていた。

宛てがあるのか、ないのか、希望があるのか、絶望だけなのか。

それは誰にもわからない。ただ行き先を知るは少年のみ。

いや、少年にもわかっていないのかもしれない。

ただ、歩みを止めることはない。

止めれば、休むことができるだろう。楽になれるだろう。

だが、それでどうにかなるわけではない。

何かが解決するわけではない。

肝心なのは、この道を行くことなのだから。




ある晴れた日のことだった。

いつものように平坦な道を歩いている少年の目の前に、

いつもと違う光景が現れた。

道の脇にぽつんと木があり、そこに何かが止まっている。

遠くからではハッキリわからなかったが、近づくにつれて、

それがバイクであると言うことが分かった。

旅に使うような、大きなバイクだ。

サイドカーが付いており、そこに旅の荷物を満載している。

バイクは、二人くらいなら簡単に乗れるほどの大きさをしていた。

木陰の方に、バイクの持ち主らしい男が座り、休んでいた。

男は一人だけで、連れがいる様子はなかった。

男が少年を見つけ、声をかけた。



「ずいぶんと若いな。独りで旅してるのか?」



少年は頷く。

男は驚いたように目を丸めたが、そうか、と返す。



「歩いてきたのか?」



「えぇ、まぁ。そんなにお金もないですし。」



「そうだろうな。」



そう言うと、男は優しげに微笑んだ。

目で、隣に座るように促す。

少年はそれにならい、木陰に腰掛けた。



「しかし、この道は長いだろう?」



「えぇ、とても。」



「大変だろう?」



「まぁ、それなりに。」



しかしそう言う少年の顔は、微塵もその辛さを表に出していなかった。

ただ、ゆっくり微笑む。

男は、それを見て、満足そうに微笑む。



「まぁ、この道を独りで歩くのだから、それなりに覚悟はして歩いてるんだろうな・・・」



「えぇ。それに、辛いことだけじゃありませんから。」



「そうか。」



「えぇ。」



しばらく、二人の間を沈黙が包み込む。

柔らかな風が、二人の間をすり抜けていく。

数分が経ったか、それとも数時間経ったか。

やがて、今度は少年が口を開いた。



「お兄さんは、何故この道を?」



お兄さん、というセリフに、男はちょっと照れたように、顎の無精ヒゲを撫でる。



「そうだな、俺は・・・ただ、見つめ直そうと思ってな。」



「何を?」



「さぁ、な。それを見つけるための旅でもあるかもしれん。」



「なるほど。」



「少年、お前は?」



「僕、ですか。僕は・・・」



少し強めの風が、二人の間を駆け抜けていった。

ザァ、という木の囁く音が、少年の声を遮ったが、

しかし男の耳にだけは、その声が届いた。

満足そうに微笑むと、



「・・・そうか。」



ただ、呟いた。






「本当に乗って行かなくていいんだな?」



バイクにエンジンをかけ、ヘルメットを被りながら、再度男は訊ねた。

少年はのんびりと微笑みながら、



「えぇ。それに、それじゃ意味がないんです。

 この道は、僕の足だけで歩いていかないと。」



しかし強い意志を持って返し、そして歩き出す。

男は、やれやれ、と呟きつつも、仕方ないな、と言う風に目を瞑り、

バイクに跨る。

そして、自分の行く先と反対へ進んでいく少年に、大声で叫んだ。



「答えが見つかったら、俺にも聞かせてくれよな!」



「えぇ、いつか!」



振り返り、少年も叫んだ。

男が右手の親指を立て、高くかかげる。少年もそれに続く。

エンジンが一際大きな音をたてた。

砂埃を巻き上げながら、やがて男は去っていった。

それをしばらく見送った後、少年はまた歩き出した。

果ての見えぬ道を。

宛てはなくとも、先に絶望しか待っていなくとも。

傷だらけになろうとも、辛いことがあろうとも。

彼は道を歩いていく。





                    - 了


あとがき -

どうも、ここではお久しぶりです。アキです

今回も短編で失礼しますー

長編は・・・もう少しお待ちを(汗)



さて、今回の話

これは、雨の降る道を、自転車を家に置いてきてしまって

仕方なく傘をさして歩いて帰っているときに思いついたモノです

うぅむ、意外と思いつくモノだナァ。今度から歩いて帰ろうかなー

テーマは・・・言わないでおきます

恐らく、読んでれば簡単にわかるでしょうから

結構、書いてみると、自分的にはなかなかいい感じで出来たので、気に入ってます

まぁ、そんなわけで、感想、批評などいただけると、ありがたいですねー

よろしければ、メール、掲示板等に書いて下さいな

恐らく、アキさん狂喜狂乱ですよ?

ま、そんなわけで、これで




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