ももたろさん -



昔々あるところに、腰痛持ちのおじいさんと、空手5段のおばあさんがおったそうな。
おじいさんは、隣町に腰の治療に。
おばあさんは特技を生かして薪割りをしてました。
ある日、おじいさんが治療の帰りに川を渡ろうとしたところ、
川上から大きな桃と、栗が流れてきました。
欲張りなおじいさんは、大きな桃だけ持って帰りました。
さすがに腰が悪くて両方は無理だったのです。
こうして、栗はどんぶらこっこどんぶらこっこと流されていきました。
さて、家に戻ったおじいさん。
早速おばあさんと桃を食べることにしました。
まるで人間が入ってるんじゃないかというくらいに大きいので、包丁じゃ切れません。
おばあさんの空手チョップがうなりを上げました。
予想的中。
中には謎の赤ん坊がいました。
もちろん空手チョップはクリーンヒットしてます。
いきなり赤ん坊は瀕死の重傷を負いました。

さて、何とか一命を取り留めた赤ん坊。
おじいさんとおばあさんは、子供に恵まれていなかったので、大層喜びました。

「よし、桃から生まれたお前は、カツオと名付けよう」

桃は関係ありませんでした。
でも、何ら問題はなく、おじいさんとおばあさんはカツオを育てていきました。
すると、あらびっくり。
カツオはあれよあれよという間に成長し、立派な青年になりました。

そんなある日、鬼がこの辺の金山を掘り当てて、ガッポガッポという話を耳にしたカツオ。
そんなに儲かってるのに、周りの住民にくれてやらないとはどういうことか。
欲張りな鬼を懲らしめてやろうと、奮起しました。
でも、その土地はもともと鬼のモノで、人間にも手伝わせていないので、
当然と言えば当然でしたが、欲に目のくらんだカツオには、関係ありませんでした。
その話を聞いた、同様に欲深いおじいさんとおばあさん。
大義名分の元に、カツオに金銀財宝を持ってこさせようとたくらみました。

そして出発の日。
おばあさんは自慢の握力で作ったキビ団子をカツオに渡しました。
ガチガチのそれは、とても人間の食えたようなモノではありませんでしたが、
武器になるかも知れないので、もらっておきました。
おじいさんも、何かを上げなくてはいけないと思い、入れ歯をプレゼントしました。
その場で捨てられました。
さて、そんなわけで出発したカツオ。
途中で、近所の犬と出会いました。

「カツオさんカツオさん、お腰につけたキビ団子、一つ私にくれませんか?」

何故喋っているのか、それは謎ですが、必要のないキビ団子なんぞ、
カツオには入らないモノなので好都合でした。
でも、がめついカツオは、交換条件でした。

「では、一緒に鬼退治に行こう」

「分かりました。私のこの自慢の牙で、ヤツらの頭をかみ砕き、
 辺りを血染めに染めて上げましょう。」

こうして、犬はカツオに付いていくことになりました。
続いて、動物園から逃げ出してきたキジに出会いました。

「カツオさんカツオさん(以下略)」

これまた喋っていますが、特にカツオには気になりませんでした。

「では、一緒に鬼退治に」

「分かりました。私のこの自慢のくちばしで、鬼の目玉を次々とくり抜いてやりましょう」

こうして、キジもカツオに付いていくことになりました。
しばらくすると、今度はサル顔の田五作さん(38、独身)が現れました。

「カツオさ(以下略)」

別に入らないキビ団子ですが、
余り役に立ちそうにない田五作さんに上げるのは気が進みません。
でも、1週間飯抜きで飢えたその目は、断ると何をするか分かりませんでした。
仕方なく、交換条件で渡します。

「では、鬼退治に」

「任せて下さい。この伸びきった爪で、ヤツらの喉をかっ切ってやりましょう」

確かにその爪は凶器でした。

さて、そうこうしている内に鬼ヶ島に到着。
早速、カツオは無実の鬼達に、虐殺行為を行い始めました。
その光景は、まさに地獄絵図。
どっちが鬼か分かりません。
その時、最も活躍したのは田子作さんでした。
その様子を、後に生き残った鬼は語ります。

「鬼神だ、鬼神が現れたんだ!!」

独身パワーは計り知れません。
そうして、ようやく奥に辿り着いたカツオ一行。
身体にこびり付いた血の後が、生々しいです。
奥には、親玉がいました。

「我が名は、カキから生まれた、カキ!
 貴様らの傍若無人な行い、許せん!いざ勝負!」

名前はやたら単純でしたが、言ってることはカツオ達のより、
よっぽど理に適っていました。
ですが、金銀財宝に目のくらんだカツオ。
そんな事はどうでも良いことでした。
勝負は、1ラウンド30秒のカツオKO勝ち。
おばあさん仕込みの空手は伊達じゃありません。
そうして、略奪行為を済ませたカツオ。
金銀財宝を持ち帰り、早速酒池肉林の宴です。
それは毎日毎日続き、カツオ達はそれはもう贅沢の限りを尽くしました。

しばらくすると、成長の止まらないカツオは
尋常じゃないスピードで年老いていきました。
そして、いよいよおじいさんもやばくなってきました。
果たしてどっちが先にくたばるのか、おばあさん達は賭け始めました。
結果は、同時KO。勝負は無効となりましたとさ。
めでたしめでたし。

ちなみに、栗がその後どうなったのかは、誰も知りません。






                    - をしまい。


あとがき -

無し。




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