優しい誘拐犯 -
- strange summer -



みーんみんみんみんみん…
蝉の声がとてもうるさい。
この暑さにさらに拍車をかける。
ああ、エアコンの利いた部屋が懐かしい…
が、ここは家の中でもなく、ましてや図書館でもない。
森の中である。

「のろのろ歩くな!」

突然、後ろから蹴りを入れられる。
うっと呻くが、倒れはしない。

「…あんまり蹴らないでよ」

ボクはささやかな反抗をする。
が、それは無駄な抵抗。
分かり切っちゃいるけどね。

「うるさい、暑いんだ!」

蹴りを入れた男が、暑いのによく叫んでいる。

「…そんなのボクだって一緒だよ」

静かに、聞こえないように呟いたが、それを地獄耳のこいつはちゃんと聞いていた。

「うるさい、暑いもんは暑いんだよ!」

げし。
またも蹴られた。
せっかくの夏休みだというのに、ボクは暑さ以上の地獄を味わっていた。
そもそも、何でこんな事になったのか。
それを説明しよう。



#



ボクの名前は近藤勇(いさむ)。
最近進級して、中2になった。
家族に、高2の姉さんと、いつも家にはいないで世界のどこかを飛び回っている父さんがいる。
どんな仕事なのかは、あまりわからない、というより興味がなかった。
母さんは、ボクが幼い頃に他界してしまった。
そのせいと、普段部屋に閉じこもってゲームばかりしているせいで、
ボクにはあまり友達はいなかった。
むしろ、いじめられているのだろう。
それでも、気にはならなかった。
ゲームさえあれば。
ボクは、その中で生活していて、そこではヒーローなのだから。
まぁ、そんな今時っぽい中学生。
日々が退屈で仕方なく、特に学校というモノがとてもつまらないモノに思いつつも、
ちゃんと毎日学校には行っていた。
家にいても、姉さんに追い出されるし。
そんな退屈な日々も、少しは変わる時期が近づいていた。
夏休み。
いつの時代の子供も、当然夏休みは嬉しいモノである。
例外に漏れず、ボクも楽しみだった。
夏休みなら、もう学校なんて行かなくて済む。
家で過ごした方が、何百倍も有益だ。
その日を楽しみにしながら、ボクは毎日学校に行っていた。
そして、終業式の日。
事件は起きた。
その時、ボクは浮かれすぎていたのだろう。
いかにも怪しげな男がいるというのに、気にもとめなかった。
そして。

「動くな」

後ろから何か、硬くて細長いモノを突きつけられた。
きっと振り向けば黒光りするフォルムが見えたことだろう。
この感触にこのセリフ。
ボクは反射的に両手をあげ、そしてそのまま誘導されて車に乗せられた。
その時思ったこと。
どーいうこと…?
暫しぼーぜんとしていたが、ようやく自分の置かれている立場に気付いた。
ようするに、誘拐されたわけだ。
しかも、明日から夏休みだというのに。
最悪。
ふと運転席の男に目をやる。
長髪で、サングラスをかけているからよくわからないけど、
年は恐らく30後半。
黒のスーツに身を包み、どこぞの映画にでも出てきそうな雰囲気を醸し出している。
よくもまぁ、夏だというのにそんなかっこ。
ボクは少し感心していた。
自分の置かれている立場を忘れて。

「おい」

「え?」

ふいに声をかけられ、少しびっくりする。

「学校は楽しいか?」

よく分からない問い。
が、ボクは何故か正直に。

「…全然」

と呟く。
そう、あんなくだらないところ、楽しいわけがない。
先生はいつでもやる気がなさそうで、
同級生はボクを無視したりする。
授業は簡単すぎて反吐が出る。
唯一できないのは体育。
何かしら失敗するたびにみんなから笑われる。
…むかつく。
何も、ボクだけが特別なわけでないというのに。

「あんなとこ…」

知らず知らずのうちに声に出ていた。
そんな様子を見て、男は少し口の端をつり上げ笑い、

「んじゃ、大丈夫だな」

と意味ありげに呟いた。

「…何が?」

「別に、お前が死んでもお前は平気なんだろ?」

そう言われて、びびる。
そして、改めて自分の置かれている立場を振り返る。
ボクは、身代金のための道具で、こいつにとっては生きていてもらっては困る存在だというのを。
が、それよりも。
正直、それでもいいんじゃないかとも思った。
こんな世界で生きていたって。
何の喜びも感じないし、楽しくないし。
日々溜まるのはストレスのみ。

「…そうかもね」

そうボクが呟くと、一瞬そいつは顔をしかめたが、すぐに、口の端をゆがめ、笑う。

「ホント、現代っ子だな。反吐が出る。ま、そっちの方が都合がいいがな」

殺すときに何の躊躇いもないからだろう。
それぐらいボクにも分かる。

「…それで?これからどこに?」

臆することなく、ボクはその男に聞いた。
死を目前に控えているというのに、いやに冷静だった。
きっと嫌な子供だろう、ボクは。
男はその問いに対して、楽しそうに答えた。

「山奥だよ」

「何で?」

「何で、って…アジトがあるからに決まってるだろう?」

少々歯切れが悪そうに答える。
変だな?
何でわざわざそんなところに行く必要があるのだろうか?
普通だったらもうちょっと近場で、自分が住んでいるところとかにするんじゃないだろうか。
それに、何よりあらゆることにおいて不便なはずだ。
そんな疑問が顔に出たのだろうか、男が呟いた。

「俺は森の中に住んでいるんだよ。人里が嫌いでな」

現代人のセリフとは思えない。
あんな便利なところより、自然があるとはいえそんなところにわざわざ住むとは。
しかも、そんなスーツで。

「変わり者だね、おじさん」

「おじさんじゃねぇ。お…」

「お?」

「お兄さん、だ」

「…無理があるけど」

「るさい」

変な悪者だった。
こんな感じで、ボクの奇妙な夏休みが始まった。






車に揺られて数時間。
普段家から出ないボクにとって、未知なる世界を旅していた。
姉さん、今頃心配してないかな…
ふと心配になるが、そうしてもどうにもならないから考えるのをやめた。
ゲームにもないな、こんな世界…
そう言えば、ゲームが出来なくなるナァ、死んだら。
それはちょっとつまらないかもしれない。
なんて、くだらないことを考えながら外の景色を眺めていた。
すると、最初の会話以来黙っていた男が口を開いた。

「珍しいのか?」

「まぁ、そりゃあ」

「キャンプとか行かないのか?」

「父さん、いつも忙しいし。」

「それもそうだな…」

なんとなく、しまった、という顔をしている。
サングラスをしているので目元まではわからないが。

「ま、それじゃちょうどいいだろ。今回」

「何が?」

「あうとどあらーいふ」

「…死の一歩手前で?」

「だからこそ楽しめるだろ?」

「どこが」

楽しめるか。
でも。
死ぬ前に、一度ぐらいこーいう経験しておくのも悪くないかも知れない。
いつまで続くのかわかりはしないけど。
そういえば。
「おじ…」

「お兄さん」

「…お兄さん」

「何かな?」

ノリの軽いヤツめ。
心の中で毒づきながらも、言葉を続ける。

「名前、なんてーの?」

「俺か?俺は…」

少し止まる。
が、思いだしたように、

「リキだ」

とだけ呟いた。

「あ、そ」

素っ気なく返事をする。
と、急に車が止まる。

「どーしたの?」

「こっから歩きだ。車じゃ入れないからな」

「え〜?」

あきらかな不満の声を上げる。
ちゃき。
こめかみにつけられたのは、間違いない。
数時間前に背中につけられていたモノ。
いやに黒光りするフォルムが禍々しい。
指の力をちょいと入れるだけで、ボクはこっちの世界にはいられなくなるだろう。

「つべこべ抜かすな。それに、こっちの方が楽しいだろ。キャンプっぽくて」

「…言い訳がましいけど。」

「今すぐあの世に行きたいのか?」

「せめてキャンプ気分を味あわせてからにして」

そう言うとリキは満足そうに笑みを浮かべる。

「ま、楽しみながら向かうとするか」

楽しめるか。
そう思いながらも、ボクとリキは森の中へと進んでいった。
何故か、こんな状況だというのに、ボクは少しわくわくしていた。






ざっざっざっざ…
森の中を歩き出して数十分。
最初は日本にもまだこんな場所があるもんだなぁと感心していたが
同じ景色が続くのと、この暑さで、とっくの昔にだれていた。
こんな炎天下の下歩くのが間違っているんだ…
大体、いくらなんでも遠すぎじゃないのか?
こんなに遠かったら食料品の買い出しだってできないし、何より電気は通っているのだろうか?
ボクがその疑問をぶつけると、

「んなもん必要ないね。
 余計なゴミが増えるし、金がもったいない。全部自給自足だ。
 電気なんざ、昼間は必要ないし、夜は月と星の輝きさえあれば十分だ」

とだけ答えた。
やけに正しい悪人である。
これから身代金を手に入れるというのに、けちくさいし。
ゴミに気を使うなんて、いかにも善人。
夜は月と星、なんて現代じゃとても考えられない。
そういえば。
なんでわざわざボクなんて捕まえたんだろう?
こんな遠くまでわざわざ来る必要ないと思うんだが。
それとも、前々から計画されていたのだろうか。
そう言えば、ここに来る途中電話がかかってきて、会話が途切れ途切れに聞こえたのだが、

「ああ…大丈夫だ…手筈通りに…」

なんてことを仲間らしき人物と会話していたから、恐らく後者なんだろう。
だとしたら。
アホなんだか、すごいんだか。
ボクにしても、だ。
いくらなんでも、脅えなさすぎではないだろうか。
それを相手は気にもとめていないようだが。
なんだか、怖いと思えない。
まるで、殺意というモノを感じられないのが、原因かも知れない。
こいつは、ボクを殺す気がないような、そんな感じがするのだが。
銃を突きつけておいてそんなはずないんだろうけど、それでも。
その前に、きっとボク自信の神経がおかしいのかもしれないけど。
そんな事を考えていると、目の前で歩いていたリキ(さすがにスーツは脱いでいる)が、
何かを見つけたらしく近くの木の方に静かに近寄っていく。
そして、そろそろと手を伸ばし、息を潜める。
思わずボクもごくっと唾を飲む。
そして、

「ジジジジッ!」

夏の風物詩を捕まえ、こっちに持ってくる。
リキは満面の笑みを浮かべている。
すごい。
一瞬、感嘆してしまった。
まさか蝉を、しかも素手で捕まえるなんて。
ボクなら、きっと一生かかっても捕まえられないだろう。

「すげえだろ」

手の中で一生懸命もがいている蝉を見せつけながら、リキは言った。

「…子供っぽいよ、リキさん」

気持ちとは裏腹に、素っ気なく言う。
それに対してリキは、

「頭の固い大人とか、夏なのに冷たい子供よかましだろ」

「後者はもしかして…」

「もしかしないでもお前だよ、お前」

皮肉めいて彼は言う。

「…子供」

「るさい」

げし、と背中を蹴られる。
蹴られながらも、不思議と腹は立たなかった。
心のどこかで、ボクはこの男を尊敬したのかも知れない。






さらに歩くこと数十分。
…おかしい。
いくらなんでも、歩きすぎでは?
そんな疑問が頭によぎる。
あれからリキはカブトムシだの、クワガタだのを見つけてはボクに渡してきた。
その様子は、とても子供みたいに無邪気だった。
いい大人が。
でも、町じゃお金を払わなきゃ手に入らない虫たちが、この男にかかると簡単に
手に入ってしまうのがすごくもあり、またおかしくもあった。
きっと、従兄弟の昆虫マニアがいたら羨ましがったことだろう。
が、今のこの状況では、あまり喜べない。
何より、別段ボクは虫には興味がない。
中2にもなって、そんなめちゃくちゃ欲しいというわけではない。
ただ、少し珍しいな、って思っただけ。
そんなことは今はどうでもいいんだけど。
問題は。
辺りが暗くなっていることと、道らしかったモノが、いつの間にか獣道になっていること。
さすがに不安になってきた。
誘拐された上、遭難してしまうなんてことは。
少しでも何かしらに期待したのが間違いだったかも知れない。
つーか、この状況じゃ期待する方がおかしい。

「…ねぇ」

さすがに耐えきれなくなって、ボクは前を歩くリキに声をかける。
が、返答なし。

「ねぇってば」

「…いるさ」

「は?」

何か小さく呟いた。
口の中で繰り返している。
もう一度、注意深く耳を澄ましてみる。

「お前の疑問はわかっているさ…そして、その疑問は正しいぜ…」

振り向き、リキはボクが最も聞きたくなかった言葉を口にした。

「迷った」

「ウソ…」

「マジ」

彼の顔は、大真面目だった。



#



それから数日。
現在に至る。
聞き慣れた蝉の声が、耳をふさごうとも聞こえ続ける。
少なくとも、夏の昼間はこの声が途切れることはないだろう。
あれから、ホントに地獄を味わっている。
毎日が恐ろしいほど暑く、太陽が眩しすぎるくらい輝いている。
夜は夜で地面の上でうんうんうなされながら野宿。
ご飯は今のところリキが持っていた非常食と、どうやって捕ってくるのか、
ウサギなどを食べて生き続けていた。
わかったことは。
日本にも秘境はまだあるもんだ。
わかったところで、何の役に立つのかと言えば、何の役にも立たないが。
最近のボクは、だんだん野生化しているような気がする。
最初は抵抗があったウサギも、今では生きるためとは言え、平気で食べられるようになったし、
ベットの上じゃなきゃ寝られないと思っていたのに、草むらの上でもそれなりに眠っている。
それは、毎日歩き続けて疲れているせいもあるのだろうけど。
それと、他にもわかったこと。
リキは、やけに山で暮らすことに慣れていると言うことだ。
毎日暑い暑い言ってる割には(そりゃあんな暑苦しいカッコしてれば当然だけど)
しっかり歩くし、虫などを捕ってボクに渡す余裕もある。
それに、食料の調達、その調理など、まるで本当に山で
暮らしていたことがあるんじゃないだろうかと思えるほどだ。
いや、山で遭難したこと、と言った方が正確かも知れない。
前に言っていた森に住んでいる、というのはボクの想像を超えた域だったらしい。
こんな何もないところで生活できるなんて。
つくづく人間の神秘に驚かされる。
それはボクにも言えることだろうが。
何より。
ボクは地獄と思いながらも、それほどこの生活を苦にはしていないこと、
それが何より凄いと思う。
この数日で、ボクは別人になったように思える。
人間なんて、そうそう変われるモノではないと思っていたけど。
どうやらそうでもないらしい。
いや、今まで外の世界を知らなさすぎたのだろう。
それが、遅れながらもボクを精神的に成長させたのだろう。
と、思案しているボクの耳に、リキの脳天気な声が響いた。

「おーい、お前!こっち来て見ろよ!」

「はいはい…」

思えば、こいつのお陰でボクはそうなれたのだろうけど、
果たしてこの状況では喜ぶべきなのか。
死の一歩手前、身代金代わりの立場、最初で最後のアウトドアライフ(ある意味サバイバル)。
もうちょっと楽な立場だったらなぁ。
殺される気は、相変わらずしないけど。漠然とだが。
でもその前に栄養失調か餓えて死んでしまうような気もしないでもない。
しかし、こいつはこいつで、もうちょっと誘拐犯らしくしたらどうだろうか。
変なことだが、ボクはここでも、そしてここに来るまでも、一度も拘束されていない。
まぁ、こんな山の中じゃ逃げるのは自殺行為と言えるが。
よくこんなんで誘拐する気になるよ。
そんなことをぼんやり考えながら、ボクはリキの方に向かう。

「早く来い、お前!」

「あのね、ボクを女房か何かみたいに言わないでくれる?
 ボクにはちゃんと近藤勇っていう名前が…」

「んじゃ、勇!早く来い!」

「全く、一体何が…」

続きを口にしようとした瞬間、言葉が止まる。
急に視界が開けたと思ったら、目の前に大きな川が流れていたからだ。
しかも、その水と言ったら都会じゃ見られないほど透き通っていた。
泳ぐ魚の姿も見える。
ホントに、日本にも秘境ってのはあるものらしい。

「わぁ…」

思わず感嘆の声を上げてしまう。

「何やってんだよ!」

しばらくぼーぜんとしていたが、リキの声に我に返り、そちらを向く。
そこには、服を着たまま水に入って子供のように遊んでいるリキの姿があった。
そして、ボクに入れと手招きしている。

「ボク、泳げないんだけど」

「足ぐらい着くだろ?楽しいぜ?」

「ちょっと待って…服濡れちゃうから脱いで…」

瞬間、ボクは言葉を続けられなくなった。
突然足を捕まれて陸の上から下ろされたからだ。
当然。
ドボーン!
水の中へと引き込まれたわけで。

「ちょ、まだ服脱いでない…」

「うるせー、ガキが服ぐらい気にすんな!どうせその内乾くんだからよ!」

ザバァっと水しぶきを上げ、リキがボクに水を浴びせた。

「この…!」

お返し、と言わんばかりにボクはやられたのより大きな波を浴びせる。

「やったな!お返しだ!」

「そっちが先だろ!」

そんな感じで、幼い喧嘩が始まった。
けれど、全然むかついたりしないで。
むしろ、スッキリしていく感じだった。
今までプールとかで泳ぐときは、いつも見学か、はじっこのほうでビート板使って泳いでいた。
みんなと遊ぶなんてしなかった。
だから、知らなかった。
こうして子供のように遊ぶことが、こんなに楽しいことなんて。
水を一度かけられるたび、同時に心が洗われているような、そんな気分だった。
今まで味わったことのないこの気分が、なんだかとても愛おしくて。
初めて、素直になれたような気がする。






「あー、気持ちよかった」

あれから数十分、僕らはずっと水の中ではしゃいでいたが
さすがに疲れたので一休みすることにした。
どてーっと河原で大の字になる。
太陽が、ボクの服と一緒に体を乾かしてくれる。
毎年うっとおしく感じていた夏の太陽が、今はとても素敵なモノに感じられた。
川の方に目を向けると、リキはまだ水の中にいた。
ただ、先程までと違ってはしゃいではいない。
むしろ、不気味なほど静かで、ただ水面を見つめている。

(何やってんだろ…?)

そう思って声をかけようとした時だった。
ザバッ、と水の中に手を突っ込んだと思ったら次の瞬間にはその手には魚が一匹握られていた。
そして川岸の方に向かい、いつの間に作ったのか、生け簀の中にその魚を放る。
すでにその中には何匹か魚が入っていた。
どうやったらあんなに捕まえられるんだ…?
人間業とは思えなかったが、一応彼も人間なのだから、鍛錬すれば身に付くのかも知れない。
ボクには一生かかっても無理だろうけど。
そうこうしている間にリキはまた一匹捕まえている。
やがて、疲れたのか岸に上がってきた。

「飯にするぞー」

そう言うと、ボクに枝を拾うように指図する。
その間に、リキは手際よく火を起こしている。
ホントに、野生児か何かじゃないのか、元は?
火を起こし終わると、その側に濡れた服を置いていた。
ボクが枝を渡すと、持っていたサバイバルナイフで魚の内蔵をさばき、
手際よく次々と枝を串代わりにし刺していく。

「うまいもんだろ?」

「確かに」

「お、今日は素直だな」

「そう思ったから言っただけ」

そう言いながら、自分でもおかしいと思うぐらい素直になってる自分がいた。
それは、この男のせいだということはよくわかっていた。
リキのしてきた、人権無視で自分勝手でハチャメチャな行動は、
ボクの最も嫌いとする行いだと思っていたのに、それが逆に僕の心を素直にしていった。
こんな姿を姉さんが見たらどう思うかな…?
と、そこでふと気が付いた。
ずっと山の中だから圏外でかけられないだろうと思ってほっといた
ポケットに入れっぱなしの電子機器。
現代人にとってなくてはならない文明利器。
それが入っていることを忘れて水の中でずっとはしゃいでいた。
ということは…
おそるおそるポケットから、それ、携帯電話を取り出す。
ちなみに、防水ではない。
当然、使い物にならなくなっていた。

「あぁ〜!」

「な、なんだ、どーした??」

突然大声を出したボクにリキはビクッとする。

「ケータイが…」

「あ〜あ」

差し出された携帯電話をのぞき込んで、リキが哀れみの声を上げた。
うかつだった…
そういえば、

「リキさんのケータイは?」

そう、こいつも服を着たまま水の中に入った。
すなわち、ボクと同じ末路をたどる、はずだった。

「あ?俺はちゃんと出しておいたよ」

そーいうところだけはちゃっかりしてる。

「まぁ、いいじゃねーか。どっちにしろ使い物にはならねーんだし。
 それより、ほれ。焼けたぞ」

さほど問題にもせず、リキはさっさと魚を食べ始める。
いつまでも落ち込んでいても始まらないので、ボクも魚を食べることにした。
あまり魚は好きじゃないんだけど…
そう思いながら一口かじる。
…美味い。
こんがり綺麗に焼けている肉に、絶妙な塩加減がいい感じに食欲を誘い、
飽きを来させない。
ボクはまた一口、一口と口に運んでいた。
最近ウサギの肉ばかり食べていて他の味が恋しかったのもあるのかもしれないが、
それ以上に今まで味わったことのない美味しさがあった。

「美味いだろ?」

ふと、リキが声をかけてきた。

「うん、美味い」

素直に答えると、リキは嬉しそうに、

「そーだろそーだろ。やっぱりこうやって遊び疲れた後に食べる飯は美味いもんなぁ」

と言いながら二匹目に手をかけていた。
なるほど、確かにそうなのだろう。
ボクは今までこんなにはしゃいだことはなかった。
だから、ここまで疲れてお腹がすいているときに食べるご飯はなかったのだ。
それが、ボクにとって何よりの調味料だったのだろう。
その証拠に、今まで、料理がこれほどまでに美味しいと感じたことはない。
そうこうしているうちにボクも一匹食べ終わり、二匹目に移った。
しばらく黙々と食べる。
二匹目を食べ終えた後、リキがボクを楽しそうに見つめているのに気付いた。

「…何?」

「いや、大分子供らしくなったナァ、と」

「どーいう意味?」

ちょっと怒り気味に訊ねる。

「悪い意味じゃねぇよ。
 ただ、今まで結構無表情だったろ。
 なんか、人間、つーより機械みたいな。
 それで、こいつホントに子供かよ、って思っていたんだが。
 どうやら、心配する必要はなかったらしいな。
 今のお前の顔、結構楽しそうな顔して生き生きしてるぜ」

言われて、はっと気付く。
今まで生きてきた中でほとんど表情を変えずに生きてきたボクが、
実に自然に頬をゆるませ、笑っていることを。
生まれて初めてと言っても過言ではない、自然にこぼれた笑顔だった。

「おい、どーした?」

ふとリキが声をかけてきた。
別にどうもしてないはずだけど…
その時、涙がこぼれていたことに気付いた。
いつの間に…?
いや、それよりも。
今までボクは泣いたことがなかった。
泣くのは弱いモノの証拠。
ボクは強い。
母さんがいないぐらいで泣いてはいけない。
姉さんが頑張っているのに、これ以上困らせてはいけない。
同級生の奴らに弱みを見せてはいけない。
そう思って、ずっと流したことのなかった熱い滴が、今ボクの頬を伝って落ちていく。
なんで…?
そうだ、それよりもまず言い訳をする方が先だった。

「別に。ただ、埃が目に入っただけだよ…」

そんな子供じみた言い訳をし、目をごしごしこする。
そんな様子のボクを見て、リキは何もかも理解したかのように、

「わかった、俺の焼いた魚があまりにも美味いんで思わず感動したんだろ?」

んなわけあるか。
そう言いたくても、涙が止まらなくて、何も言えなかった。

「…ちが、う。そん、なんじゃ、ない…」

それだけ言うのがせいぜいだった。

「やれやれ、今夜はここで野宿だな、まったく世話焼かせやがって」

言葉とは裏腹に口の端に笑みを浮かべるリキが、不思議と優しく感じて、それでいて腹が立った。



#



その夜、夢を見た。
子供の頃の懐かしい記憶。
目の前にいるのは、姉さんと、もう一人。
誰だ…?思い出せない。

「また喧嘩したの?」

幼い姉さんが呆れた声で訊ねる。

「向こうからかかってきたんだ。だからしょうがなく…」

子供っぽくない口調でボクは返す。

「負けて帰ってきた、と?」

やれやれ、と姉さんが首をすくめる。

「相手が多かっただけ。それに、ボクは強いんだから…」

そう、だからボクは負けても泣かない。
弱いモノじゃないから。

「それはゲームの中の話でしょ?現実と一緒にしないの」

「違うよ、ボクはホントに強いんだ…」

下を向いて呟くボクに、側で黙って聞いていた誰かが口を開いた。

「うんにゃ、お前は強くないね」

やけにわかりきったような口調で。

「そんなこと…!」

「強くない」

否定しようとしたボクの先にまわって断定するような口調でそいつは言った。

「泣く勇気も持っていないような弱虫は強くないね」

そいつはよく分からないことを言った。

「何言ってるのさ?泣くことなんて弱いヤツのすることだ!」

そう言ってキッとそいつの顔を睨む。
逆光でよく見えないけど、口調や、体格からして間違いなく男だ。

「違う。感情に素直になれないヤツは、人間として最弱だ。
 そーいうヤツは、いずれ自分がわからなくなって、自分を見失う」

その時、子供だったボクにはそいつの言ったことがサッパリ分からなかった。
だから、こいつの言ってることは間違ってる、と聞かなかった。

「感情に素直になれ。
 怒りたいときに怒り、笑いたいときは笑い、そして泣きたいときは泣け。
 それができるようになれたら、その時はきっとお前も人間らしく生きられる」

逆光でわからなかったが、その時そいつは確かに、笑っていた。
人を落ち着かせる強さを持った、そんな笑顔を浮かべていたような気がする。
まるで、父親のような…
ああ、そうだ。
こいつは、ボクの父さん。
なんで忘れてたのだろう。

「そんな勇気を持て、勇…」

光が弱り、一瞬見えた、父さんの顔は…リキ?



#



バッと思わず目を覚ます。
な、なんだってあんな夢を…
隣を見ると、気持ちよさそうにいびきをかいているリキがいた。
こいつのせいで…
怒りが募りそうになったその時。
ボクの頬を、再び熱いモノが流れていく。
ああ、そうか。
なんでボクが泣いたのか。
それは、初めて湧いた恐怖。

「死にたくない…」

子供の時にはわからなかった父の言葉が、こんな時になって理解できるなんて。
感情のままに泣くことが出来ることの素晴らしさ。
それは、今まで感じたことがないほどスッキリするのだった。
それを感じたのが、まさかこんな状況とはね。
神様も、だいぶボクのことが嫌いらしい。
何も、死ぬ直前に教えてくれなくても。
リキがいくら子供みたいに単純でも、ボクを誘拐したのだ。
金のために。
そのためなら、ボクの命なんてなんとも思っていない。
その証拠が、あの拳銃なのだから。
そのまま、ボクは夜が明けるまで声を殺して泣いていた。
逃げることもできただろう。
それをしなかったのは、恐怖を与えてくれ、ボクに人として大切なモノを教えてくれた
この男への、ささやかな感謝の気持ちから。
こいつがいなければ、ボクの人生はきっとくだらないまま終わっていただろう。
だから、後悔はしない。
例え短い人生に終わってしまったとしても、大切なことに気づけたのだから。
それでも。
生きたいと願うのは、わがままだろうか。






太陽が空を明るくし始める頃、リキは目を覚ました。
その時のボクの顔は泣きすぎてひどいモノだったろうが、リキは気にする素振りすら見せなかった。
昨日の残りの魚を朝ご飯に軽く食べ、出発した。
また地獄の始まりか…
でもボクは全然辛くなかった。
感情に素直になれたのだから。
しばらく森の中を歩いていると、ふとリキが声をかけてきた。

「おい」

「何?」

「…良い顔してるな。そっちの方が似合ってるぜ」

「皮肉?」

真っ赤な目をしているのを見て似合ってる、なんて皮肉以外のなんでもない。

「違う、そーいう外見的なモノじゃない」

「じゃ、なにさ?」

「その笑顔さ」

「…笑ってるつもりないけど」

「しらねーの?本当の笑顔ってのは、自然と出るモノなんだぜ。感情のままに、な」

「…」

こいつは、父さんと同じような事を言う。
どこか人を落ち着かせるような、そんな笑顔とともに。

「子供ってのは、素直が一番さ」

上機嫌に、彼は言った。

「今更だけどね」

皮肉めいて呟くと、彼の顔が一瞬曇った。

「…どうでもよくなったのか?」

「違うよ」

そう言って、ボクは立ち止まる。
それに合わせて、リキも立ち止まり振り向く。

「生きたいと願うようになったからさ。
 たとえそれがもう叶わぬ夢だったとしても。ボクは後悔していない」

「そうか…」

「それに…」

「それに?」

「ボクは、結構リキさんには感謝してるよ。
 ボクを、素直にさせてくれたんだから。
 子供らしくさせてくれたから。
 だから、リキさんになら、殺されても構わないよ」

そう言って、無邪気な笑みを浮かべる。
それを見たリキは、何とも言えないような表情を浮かべている。
そんな彼を後目に、ボクは彼の横を走って抜ける。

「お、おい!」

「大丈夫、逃げやしないさ。言っただろ?
 ボクはリキさんになら殺されても構わないって」

そう言いつつ、さらにスピードを上げる。

「違う、そっちには崖が!」

「え?」

瞬間、目の前の視界が開けた。
気付いたときには、空の上だった。
まさか、こんな形で死を迎えようとは。
でも、後悔していない。
生きることに投げやりだった昔と違って、生きることの楽しさを知ってから死ねるのだから。
不思議と恐怖は湧いてこなかった。
代わり、少し笑っていた。
もう少し、早く気付いていたら、ボクはどんなふうに生きられただろう…?
そんな疑問が走馬燈のように流れていく。
そして、目をつむり死を待とうとした、その時だった。
体が、急に止まった。
正確には、腕を掴まれて引き上げられようとしているのだ、もちろんリキによって。

「リキさん!」

思わず声をかけると、リキは顔を苦しさで引きつらせながらも、落ち着かせるような力強い声で、

「今、助けてやるからな…!」

と言い、さらに右腕に力を込める。
もう一方の手は、地面を指で掴んで保っているが
このままでは二人が落ちるのは時間の問題だろう。
このままじゃ、リキまで…
そう考え、ボクは笑みを浮かべて、リキに、

「いいよ、もう。
 それに、そのままじゃリキさんまで落ちちゃうでしょう?
 どうせ、ボクは身代金になるようなどうでもいい存在なんだ。
 だから、リキさんがそこまでする必要はない。ありがとう…」

そう言いかけようとしたときだった。
リキが突然、叫んだ。

「ばっかやろう!
 死にたいなんて言いやがるガキを、誰が死なせるかっつーんだ!
 大人ってのはなぁ!子供に未来を見せる義務があるんだ!
 こんなくだらねぇところで誰が殺させるか!」

こんな、こんな取り乱した、というより真剣なリキを見たことがなかった。
ボクを殺そうとしているくせに、なんでこんなこと言ってるんだ…
そんなボクの心中を察したのか、彼は苦笑して、

「…他のヤツ捕まえてくるの面倒だからな。ここでお前を助けた方が早い」

「面倒って…そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?
 リキさんまで落ちてしまうかも知れないでしょ!」

完全に立場が逆転していた。
それでも、彼には死んで欲しくなかった。

「さっきも言ったでしょ?
 ボクはもう満足したから、いつ死んだって構わないって。
 突然のことだったけど、それでもいい。
 それが、今までろくに生きようとしなかったボクへの罰なんだから」

「だったら…
 だったらなんでお前は泣いてるんだ?」

「あ…?」

気がつくと、夜の内に全て流し尽くしていたと思っていた涙が、再び頬をつたっていた。

「お前、感情に素直になれたんだろ?
 だったら、その涙は生きたいって素直な心なんじゃないのか?
 泣いてる子供、ほったらかすわけには…」

言いながら、リキはますます腕に力を込めていく。

「いかねぇんだよ!」

瞬間、体が浮いた。
飛ぶというのはこんな感覚なんだろう、と少し考え、
次の瞬間、背中から打ち付けられて、ボクは再び地面にいた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

隣を見ると、リキが荒い息を吐いている。
しばらくして、息を整えたリキが呟くように話しかけてきた。

「今さ、お前こう思ってるだろ…」

ふぅ、と一息ついて、穏やかな笑顔で彼は続きを言った。

「生きててよかった、ってな」

ああ、そういえば…
このとてつもない安心感。
絶叫マシーンから降りたときの、何倍ものその感情。

「…っはは」

込み上げてくる笑み。
作ったものではない、本物の笑い。
それが自然に込み上げてくる。

「…くはっ」

リキも、吹き出して笑い始める。

「はははは」

「あっははははは!」

二人して、笑った。
夏の爽やかな風が、いつまでも笑い続ける二人の頬を撫でていった。
その風がゆらした木々さえも、ボクらと一緒に笑っているような、そんな気さえした。
あのまま死んでたら、こんな気分も味わえなかったんだな。
あぁ、生きてて良かった…






「あー、もうすぐだ。ここの道は覚えてるからな」

「さっき通ったから、とかそんなんじゃないの?」

「ちげーよ!」

そんな掛け合いをしながら、ボクらは森の中を進んでいた。
そんなじゃれあいも、ボクにはなかった経験で。
今までこんな楽しい時間を逃してた自分に後悔した。
だけど、先ほどまでのような恐怖とかは浮かばない。
それは…

「おー、ここだここだ!着いたぞー!」

その声の方に行くと、森を抜け、開けた場所に出た。
目の前には、見覚えのある古い家があった。
はて、この家は確か…?
頭の中から記憶を引きづりだそうとした、その時だった。

「おっそーい!何やってたのよ!」

聞き覚えのある、気の強そうな声。

「いやー、わりーわりー。ちーっとばかし寄り道を」

その声の主に、軽く返すリキ。
だが、ボクの口からは疑問が出る。

「姉さん?どうしてここに?」

そう、その声の持ち主は、紛れもなくボクの姉の物だったのだ。
そういえば、ここって、ボクの実家じゃないか。
あまりにも久しぶりですっかり忘れていたけど。
姉さんは、そのボクの疑問に対して、満面の笑みを浮かべると、

「実はねぇ、今年のあんたの誕生日、ここで祝おうってことになってね。
 それで、どうせ自分の誕生日も忘れているだろうあんたのことを驚かせようと思って、
 そこの人と協力して、あんたをここに連れてこさせたのよ」

そういえば。
今日は、誘拐されてから経過した日数から考えれば、ボクの誕生日だった。
ホント、すっかり忘れてた。
まぁ、あんなに振り回されりゃ忘れて当然か。
だけど、これでようやく全てのつじつまが合った。

「そして、何を隠そうそこのアヤシイ人は、実は!」

「父さんでしょ?」

言いかけた姉さんの台詞を先回りして、ボクは答えを言った。
台詞を取られた姉さんはしばらく口をぱくぱくさせ、ふぅ、とため息を付いて、

「…あんたってホントやな性格してるわね。」

正解だった。

「バレバレだっただけだよ」

「そうかー、そいつは残念だったなぁ」

そう言って、リキがカツラを外し、サングラスを取った。
そこには、1年に一回みれるかみれないかわからない、懐かしい顔があった。
そして、

「誕生日おめでとう、勇」

と、あの笑顔で言うのだった。
紛れもなく、父さんだった。

「しかし、悪趣味な計画だったね」

「うるさいわねー、これでも一生懸命考えたのよ。
 どうすれば、あんたのその仏頂面から驚きの顔が見れるか、って。
 そー考えたら、父さんと協力するのがいちばんかなー、って」

「そんなこと考えるより、家計の方考えてた方がいいんじゃない?」

「ホントあんたってヤな性格してるわね」

「まーまーまーまー」

口喧嘩になりそうなボク達の間に父さんが割って入る。

「それにしても、よく父さんだってわかったなー」

感心したように父さんが呟く。

「簡単だよ。
 こんなヘンピなとこからわざわざボクを誘拐しにくるような人なんているわけないだろうし、
 あんな計画性のない誘拐犯だっているわけない。それに、リキって言う名前。
 父さんの名前はリキヤだったしね。安直だよ。それに…」

「それに?」

「…なんでもない」

「なんだそりゃ」

あんな優しい雰囲気を持ってる人なんてそうそういないだろうし。
そんなことは照れくさくて言えない。
そんなボクの心でも読んだのか、

「せっかく素直になったんだから、隠し事なんてするなよ。」

と、にやついた笑顔で、父さんは言った。

「なに、勇が素直になったの?」

姉さんがホントに意外そうな声で聞いた。

「そーだよ、俺のお陰で。昨日なんてさぁ、こいつぴーぴー泣きやがって…」

「わ、そーいうことは言わないでよ!」

「へぇ、あんたもこの年にしてようやく泣くことを知ったかー」

愉快そうな顔で、しかし嬉しそうに姉さんがちゃかす。

「だ、誰が泣くか!」

「はいはい、続きは家の中でね。
 ばあちゃんが作ってくれた御馳走食べながら、ゆっくり聞いてあげようじゃないか」

「そうそう、それに誕生日プレゼントもあるし、な」

「あ、そー」

少しむくれ、でもそうしているのが心地よかった。
誕生日プレゼント、か。
この夏、ボクは何よりも素晴らしい贈り物を父さんにもらった。
部屋にこもって、架空の世界で遊ぶよりも、楽しくリアルな体験。
その体験がくれた大切なモノ。
そして、それは永遠になくなることはないだろう。
ボクが素直でありつづける限り。
こうして、ボクの奇妙な夏が終わった。
だけど、ホントの夏はきっとこれからだろう。
そして、ボクの人生も。





                   -


あとがき -

どーも、アキです
久々の小説です
あんまり書いていなかったから、どんな作品になったのかはわかりません
きっとヤバい出来でしょう
まぁ、その辺はいつものことということで、許して下さいな

さて、今回は珍しく淡々とは書いてないです、たぶん
それに、恋愛でもない
これは私にしてみれば珍しいことです
でも、いつもありきたりでもつまらないので
それでも、短い話しか書けないのは御了承を
今回のテーマは、現代の中学生?と大人みたいな感じです
私からしてみれば、子供、ってのはやっぱり素直が一番!というような気がしたので、
こんな話を書いてみました
って、書いてるあんたも子供じゃん、なんて突っ込みはなしです
自分はひねくれてるので、まぁ一種憧れのようなものなので
それに、最近よく親による幼児虐待が起きてます
自分達が生み出した未来の形を、そう簡単に投げ出すのはどうなんでしょう?
私はまだ子供なので、親の気持ちなんてわからないですが、
それでも、やっぱり自分達が生んだモノなのだから、責任もって育てなくちゃいけない
そんなこんなで作った、リキさん
無邪気で、子供っぽくて、少し乱暴だけど、それでも親らしく子供のことをちゃんと考えてます。多分
将来、こんな風に子供のことを大切にできたら、きっと最高だと思います

そうそう、読んだ感想とかいただけると有り難い限りです

そういえば
私いつもいつも落ちがダメになってしまいます
もうちょっと丁寧に仕上げられたらなぁ、とか考えてるんですけど、
結局竜頭蛇尾に。(頭も蛇かもしれない)
まぁ、次こそは落ちに力を入れるつもりなので、そのつもりで

それでは、この辺で
あー、久々の後書きだから長くなってしまった…





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