|
夕日の綺麗な瞬間 - 「あ〜、疲れた...」
ふぅ、と一息ついて、朝礼台の上に座る。 この瞬間、結構幸せだったりする。 夕日が綺麗でさ、ホント。 田舎に住んでいることが得した気分。 「楽しそうねぇ、あんた」 後ろから聞き慣れた声がする。 「よぉ」 俺と同じ、陸上部で、副キャプテン。 ちなみに俺はキャプテンで。 「ほい」 そう言われて、いつものようにジュースを差し出される。 「サンキュ」 いつものように受け取り、おでこに付ける。 よく冷えてるね。 この瞬間も、幸せ。 「となり」 「どうぞ」 よいしょ、と隣に彼女も腰掛ける。 もう、皆ほとんど帰ってしまって、残っているのは多分俺と彼女だけ。 いつもこんな感じ。 ふぅ、とまた夕日に目を向ける。 綺麗だナァ。 「綺麗だね」 彼女もまた同じようなことを感じてくれたらしい。 ちょっと嬉しかったり。 「そーいえば」 思い出したように彼女が切り出した。 「何?」 「何であんた、いつも部活終わった後も走ってんの?」 今更聞くのかい。 「いやね、夕日がさ...」 「夕日が?」 先を促すように、彼女は聞く。 「夏限定なんだけどさぁ... 部活終わった後、また一汗かくとな、ちょうどなんだよ」 「何が?」 「この夕日を見れる瞬間」 そう言って夕日をまた見る。 「別に、帰っているときでも見れるじゃん」 「その時とは、違うんだよ。景色がさ。 何か、こうサッパリした後に、何にも考えずにボーっと見ると。 スッゲー綺麗なんだ、この夕日。 1年の時からずっと見続けてるけど、この瞬間に勝るモノはないね」 「ふーん...」 彼女もまた夕日に目を向け直す。 髪に太陽に光が反射して微妙に茶色に見える。 横顔が、いつも見ている彼女の顔とは違って見えて。 夕日は、こんな風に景色を変えてくれる。 それもまた"をかし"、とかなんとか。 「今年で終わりだね」 夕日を見つめたまま、彼女は言った。 「だな」 俺もまた、夕日を見ながら答える。 「いろいろあったね」 「だな」 思い出を振り返ってみる。 ん、確かに。 いろいろあった。 だけど、決定的になかったのが。 色恋沙汰、とか。 ま、それはまたそれでおもしろかったけど。 「そーいえば」 今度は俺が切り出した。 「何?」 「お前は何でいつも部活終わった後もここにいるの?」 これまた、今更。 そう聞くと、彼女は、痛いとこを突かれたような顔になって、 「さぁ」 とぼけた。 「あ、そ」 それに俺も気のない返事。 彼女を見ると、顔が先程以上に赤く見える。 夕日だけのモノではない赤み。 でも、気のせいか、と俺は流す。 しばらくして、 「あんたのことをさ...」 やや躊躇いがちに、彼女は話す。 「?」 「ずっと見てたからじゃない?」 そう言って、ニコッと笑う。 冗談なのか、本気なのか。 サッパリわからない、そんな笑み。 でも、頬が赤くなっているのはやはり気のせいではなくて。 そして、俺も。 頬が熱くなってたり。 「あ、そ」 「そ」 そう言うなり、彼女は急に顔を近づけ、そしてそのままくっつけた。 正確には、唇が。 そしてまた笑みを浮かべる。 「じゃ、また明日の練習の時にでも」 彼女は明るく去っていく。 今更かい。 何が、って。 色恋沙汰。 でも、それもまた"をかし"、とか。 一つ気に食わないのは、 「女からは反則だって」 それ。 夕日に目を向けると、俺の頬のように真っ赤で。 また、いつもとは違ったように見えた。 「綺麗だナァ...」 彼女がいたら、どっちが?とか言ったかもしれない。 幸せが、増えたね。 きっと、この瞬間に勝るモノはないよ。 - 了 あとがき - なんだかなぁ こんにちは〜アキです またも短編 懲りません 好きみたいです、こーいうあっさりした話 しかも、恋愛 ん〜、青春してるねぇ、って感じで 私自身、田舎に住んでますけど、きっとここまで綺麗な夕日には巡り会えないでしょう いいなぁ きっと、景色なんてその人の見方次第でどーにでも映るんでしょうけど でも、とんでもなく綺麗に見えるって、なかなか難しいですよねぇ ふと、夕日を見て感動したときでも、ここまでは いつか、見られるときが来ると良いナァ、とか ん〜、よくわからなくなってきたので、この辺で ちなみに、今回も特にテーマというテーマはないです、はい ∠short ∠index |