青信号なら迷わず進め -


出会ったのは、偶然。

運命でもなんでもないのだろう。

たまたま赤信号を待っているときに見かけたのが、始まり。

そうして僕達は始まった。

そのとき、僕は浮かれていたのだろう。

始まりはいつか終わりを迎えるというのに。



彼女に対して、僕は何でもした。

嫌われないように。

彼女の機嫌が悪いときには機嫌を取り、

彼女が泣いているときには必死で慰める。

とても献身的であるけれども、どこか自分を殺していた。

それでも、彼女といられたら、それで十分。

でも、彼女はいつでも不満げだった。



終わったときに、彼女が残したセリフ。

   "あなたは私の召使い?"

僕がしていたことは、結局彼女を苦しめていた。

じゃあ、僕はどうしていたらよかったのだろう。

ありのままの自分でいたとしても、そのまま終わりを迎えていたのではないか。

過去をいくら悔いても現実は変わらないというのに、僕の脳裏には後悔という文字しか浮かばない。

そうして、僕達は始まりの場所で終わりを迎えた。



それからの僕は抜け殻のよう。

魂のない、人形。

それだけ、僕は彼女が好きだったらしい。

そしてどうして嫌われたのか、考えてみる。

僕は、ずっと嫌われないようにしていたのに。

友達にそのことを話してみると、

   "だからダメだったんじゃない?"

その言葉の真意は、今の僕には理解できなかった。



いつも来ていた場所に行く。

始まりの場所にて終わりの場所。

待ち合わせに使っていたその場所に、彼女の姿は無く。

僕はそこで立ち尽くす。

人が、水の流れのように僕の周りを通り過ぎていく。

何故か、涙が流れる。

そして、信号は赤になった。



それからまたしばらく経つ。

気持ちの整理が着き、物事をようやく冷静に見ることが出来るようになる。

あのときの彼女のセリフ。

   ― 召使い?

僕は、君と対等ではないような行動をしていたのだろうか。

あのときの友達のセリフ。

   ― だからダメだった。

嫌われない、という考えが。

そこでようやく、僕は気付く。

僕はずっと逃げていた。

青信号だというのに、黄信号のように警戒していた。

進もうとしなかった。

ただ、好きになって欲しい、じゃなくて嫌われないように。

それじゃ進めるわけないのに。

結果、黄信号から赤信号。

僕は、進みたくても進めなくなった。

彼女が渡っていってしまったから。

それでも、僕はまた進まねばならない。

いつまでも赤信号ではないのだから。

進もう。

いつまでも立ち止まっていられない。



そうして、僕らは終わりの場所で再会を果たす。

ようやく追いついた。

そんな僕を見て、彼女はさっさと前に進もうとする。

黙って進ませるわけにはいかない。

やっと追いついたのだから。

「待って」

そうやって、彼女を引き留める。

「......何?」

苛立ちながら彼女は言う。

そうこうしているうちに、赤信号。

出会ったときと同じ。

「やっぱり、君のことが好きなんだ」

それを聞くと、彼女は疑いの眼差しを向ける。

「本当に?」

「僕は、もう立ち止まらないから」

そう言うと、彼女は笑みを浮かべる。

「ずっとその言葉が聞きたかった」

僕はそこでまた一つ知る。

終わりもまた、始まりを呼ぶのだと。

そして、信号は青になる。

僕らは、躊躇わずに進んでいく。

立ち止まらずに前へ、前へ。





                   - 了


あとがき -

最近何か暇しすぎなアキです
今回、少し雰囲気変えてみました
なんか、こう淡々と
あ〜、でも屋上の話の方がいい感じだったかナァ…
ま、こーいうのもアリと言うことで
とりあえず、最近書きっぱなしです
少し休憩しようかな…
あ〜、でも書いておいて損はない、かな?
まぁ、これからも書き続けるつもりなので、どうぞ読んでやって下さい

ではでは





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